楽園の終焉-小楽園の幸福2011番外編 草創期のGTルアーの一端を垣間見る ― 2020年10月05日 17:00
楽園の終焉-小楽園の幸福2011番外編
草創期のGTルアーの一端を垣間見る
Gibbs&Fred Arbogast
SWルアーゲームの日本の歴史は米国に比べてはるかに短い。
しかしながら、その諸流れを知るものは案外少ない
※本編は、日本の海用ルアーの中でも比較的その波が遅かった大型対象魚とりわけロウニンアジにややスポットが当たっています。よりマクロなその流れを知りたい場合は、各自で調べて頂くことをお願い致します。また、本編の小楽園のおまけ程度に記載しおりますので予めご了承ください。
古くから我が国には、その長きに渡っての職漁文化があり、独自に発展を遂げた漁具も多数存在すると言われている。その中でも、疑似餌の歴史は古い。その多くは、職としての漁業の合理性からも独自に開発されていった。その代名詞が餌木であろうかと思う。しかしながら、古くから釣りをゲーム、スポーツとして捉えて来た欧米、とりわけ近代の米国に於いては、我々がまだそのような概念の薄い頃から、海でも淡水でもこの釣りを遊びと捉えてきた文化は、日本のそれとは少し異なる。
そんな、疑似餌の発祥こそ少し異なるが、戦後から高度成長期に入り我国の海のルアー釣りと称した基本となったのが、GIBBS社であり、Fred Arbogast社では無かったかと思う。
そして今回は、主に挙げていないが、COTTON CORDELL社のPENCIL POPPERが上げられる。これで90年代はGTを狙うアングラーもいた。先ほどのポップンフミーの元になった方も恐らく使っていたと記憶している。またナイロン主体でGTを狙っていた時代でこそ成り立つものかとおもう。
1995~6年頃購入したコットンコーデルのペンシルポッパー
フレッドアーボガストといえば、多くのルアー釣りを行うアングラーとしては、やはりバスルアーとしてのフラホッパーと、なんと言ってもジッターバグを想像するのではないかとおもう。それほど、ジッターバグは、世界中のアングラーからその代表であると認識しているのかと思う。筆者もその一人である。
筆者が1980年から1982年頃に購入したもの、USA製で厚紙の箱に薄いプラのカバーだったように思う。箱は、もう無い。
GIBBS社でGTルアーと言えばPORARISとPENCIL POPPERだと思うが、特にPOLARISは有名で、90年代半ばまで使われてきた名品であったと思う。北米発祥のこのルアーは、日本には居ないストライプドバス釣りの為に開発され使われてきたと言っても過言でない。それほどそのストライプドバスは、北米東海岸人気の魚種である。我が国には存在しないが(一部の管理釣り場で淡水化したのはある)強いて言うならば、スズキに近いがその形状やサイズは大きく異なる、その昔は、和訳でシマスズキと言われたころもあったそうである。
また、それと双璧をなすのが、このARBOGAST社のSCUDDERではなかろうか、もっぱらGTで使われたのは2400シリーズの2ozだったのではないかと思う。このスクーダーは、20年ほど前(2011年当時から)に友人からもらい受けたものでその時代には既に中国製だった。当然作りもオリジナルの時代よりも悪かった。ワイヤースルーのこの基本的な構造は、今でもある程度のSWルアーの基本構造となっているようである。
日本のSWの草分けの一つに数えられる名品だった
時代は、ナイロンラインしか使われていない頃である。
それも時代がPEライン化するに従って、これらの初期の時代を担った名品も片隅に追いやられていったようである。これを改良したと思われる、クレイジースイマーはF師匠の名品であり、90年代のGTルアーといえば、クレイジースイマーだったように思う。90年代は、この古きアメリカンルアー達と国産ルアーが混在していた時代だったとおもうが、後半になるにつれ、国産が増えていったように思える。いや、ほぼ国産ルアーが制する時代へと変わっていった気がした。時代が変わっていることを意味していたのだろう。またGT専用機まで出て来た時代である。 D社、S社は勿論のこと今は無きリョービまでエンターソルトシリーズのガーラという名のものまで出現した。この時代まだ少しナイロン20~30LBというクラスで戦うGTアングラーもいた時代だった。
左端:同時にGTポッパーといえばこのGL工房のツルポップンだった。
左端2番目:そのブームに乗ってできた同GL工房製ポップンフミーだったがこれはさほど人気が無かったように思える。
1996年頃購入したFISHERMAN社クレイジースイマーとロングペン
1990年代をすばやく駆け巡ったGTルアーの名品
この時代に生まれた世代は2020年現在は、既に30歳前後であることを考えると知らないのも無理はない。
90年代という時代の一翼を担った、ツルポップンとポップンフミー
フミーの評価は、あまり聞かなかったがそれなりに釣れたのだろうか…それは未だ謎である
上2つがFISHERMANのカップと下がSUCCUDERのカップ
(上から撮影したところ)
以来個性的なルアーは、GTと言うジャンルからもその姿を徐々に減らしていったようにも思える
GLで思い出したのは、トビミノーとリラミノー、GLの佐野さんは常に独創的なルアーを生み出していた。
話しが少しまた戻ってしまうが、1982年当時、これらの輸入品のルアーが国内でも一部の店でも売られていたが、一体これをどう使うのかさえ分からなかった私には、到底買う事の選択には無かった。呉の”ささきつりぐ“には、同社のHUMMERHEADが何時までたってもぶら下がっていたのを良く覚えている。そんな、時代がとても懐かしく思えた。サイズは覚えていないが、当時の私にはとてつもなく大きなルアーであり、それを襲ってくる魚のイメージが全く湧かなかった。とにかくその近くにあったマグナムラパラと同様に。それらは、瀬戸内で使い道もない気がしてならなかった。なにせスズキ釣り、とりわけ60㎝を超えるものが大型と思っていた懐かしい時代のころのことであったので無理もないかと思う。当時の中学生には、今ほどの情報量はなかった。恐らく今現在からすると、無きに等しいと言っても過言ではないような気がした。
HAMMERHEAD
90年代末からさらに数年後の2000年代に入ると、日本の市場では殆ど見られなくなり、米国でも廃版になっていったのである。ギブスのルアーが未だに現役であるのに対して、フレッドアーボガストのSWシリーズはすべて廃版になってしまった。残念ではあるが、それも時代の流れなのかと思う。売れないから廃版になると言うのは資本主義社会の基本なのだから。ないものねだりは後のことで、当時からすると多少のあれこれはあるにせよ、淘汰にすぎないと思った。
今もほとんどそのベースは変わっていないGIBBSのウッドプラグ
上からGLIDER PRO PENNCIL CANNAL SWIMMER
右端のリールは、スーパーパウオリと言うブラジル製
なんでもラグザーのクラックのコピーらしい
つまり、バンスタールの原型の親戚の従兄あたりなのか
日本が戦争で死にかけていた頃、ギブスは、その生産を始めていた。
これが、世界一豊かな国の象徴だったのかもしれない。
祖父たちは、その事実を当然知らないまま片道燃料で突撃して行った。
下のPOLARISは最小サイズ
1995年頃の頂きもの
同じくGIBBUSを代表するPENCIL
POPPER
30年近く開封していないまま
GTも対象魚に入れて生産されているのだろうか
2014年当時のPOLARIS POPPER PRO SERIES
アメリカもPEラインが主力となり、強度上がっている
また、VMC社フックも使用している
同社のPENCIL POPPER PRO
アメリカのルアー産業は、繰り返しになるかと思うがとても古いもので、日本はその概念さえあまり無かった頃に巣既に盛期を迎えたのではないかと思う。
その後、多くのブランドが買収されて、その量産先を大陸に移した。
ギブスはそれをせず、小さく、地道にコツコツとやってきたかと思う。そのかいもあってか、現在でもUSA製で頑張っている。それは、評価に値する。一体日本でそのようなルアーメーカーが何社あるだろうか?
日本製のGTを視野にいれた大型ペンシルの中では当時リアル系に走ったザウルスのトビペン。元祖に近いかもしれない。バブルの象徴でもあった同社もその崩壊と共に人々から次第に忘れ去られていったように感じる。
パッケージ裏
1998年度ザウルスのカタログ
ふと思い出して、家探しすると見つかった。
バリで購入した、インドネシア製ペンシル
たしかウイルスバリとか言う貝張りのシンキングペンシルだった
筆者及び月竿が最も信頼する疑似餌の一つであるクラフトベイト社のGT2
GT1は生産終了になって久しいが、再生産して欲しいと願ってはいる
圧倒的な出来の良さとセンス、そしてその実用性は大変素晴らしい
その分厚いコート層と塗装には脱帽だった
GT1 画像もこの画像が最後となった
何れ、クラフトベイトとそのビルダーである谷口氏の特集をしてみたいと思う。
リアルベイト MOON SP SERIES
日本のSWルアーは、その淡水ルアーがそうであったように、コピーから始まった。現在ではそれを知ることもないまま多くの釣人が使っていると思う。
勘違いの果ての中には、それが日本発祥であるかの如く他を下にみることも多く見受けられる。しかしながら、最初に開発したその国、その会社、その人が一番偉いし、立派であるし、かっこいいに違いないと思うのだが、その多くが否定されていると思ったりもする。
ただ、今現在のハイテクルアーを使いながら過去の開拓者に思いをはせるのも良いだろうと思う。また違った釣り感が味わえるのかもしれない。
明日への釣師に捧ぐ。
それが疑似餌だろうと餌であろうと、釣りの基本は同じである。そしてそれを昇華させるのも釣師となったあなた次第なのだから。
終わり
2020年10月5日編集追記
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