楽園の終焉Ⅱ2011-9 ― 2019年12月11日 18:06
災害ランクも世界一とか言われている我が国のようです。
何とか今年のおわりまでには良い方向にしたいと思うこの頃ですが、その先は誰も解りません。
これが温暖化の波と言うことなのでしょうか。
くたびれたおっさんとロウニンアジ。
開始早々の洗礼を浴びた。
これが今回の幕開け開始5分後の1本目となった。
開幕戦の1発目にしてはとてもディープでヘビーな洗礼であった。
しかもそいつの腹鰭には、疑似餌の腹側のフックがキッチリと掛っており、釣り糸の力がかかる方向が通常とは大きく異なって必要以上に魚と釣り人との力を奪っていった。
これが腹のフックが下顎に掛り、テイルフックが腹鰭側であれば大きく状況は異なったであろう。
そのような、オープニングで第一幕を開いた。
キャッチ後10分が過ぎた頃、息も幾分整えて調整するものの、再び竿を握る事はまだ出来ていなかった。
やり取り中後半戦にスピンハーネスを掛けたが、テンションが嫌な左斜め下を回転方向気味に負荷がかかった。
そのお陰で富士のグラファイトリールシートDPS22を痛めつけ、変形破損してしまった。
これには流石に焦ってしまった。
試合中は何が起こるか解らないので冷静沈着さは、決して忘れてはならないのだろう。
そう思った。
762-DH-TCS-KVGは、大変良い仕事をしてくれて幸いキャッチに至る事が出来たが、リールシートの破損という致命傷を負い後退を余儀なくされた。
彼(ロッド)には、感謝して控室に行ってもらう事にした。
そして、控にあるBG73-TRAVEL-GLと交代することにした。
それから前衛二人は、一言で言えば"一生懸命"に投げ続けた。
この調子だとかなり行けるかもしれない。
私と仲間の誰もが想像したに違い無かった。
眼前には、多くの大型ロウニンアジが並んで待っている。
人間というものは、かくも都合の良い様に考えるものか・・・・。
しかし、それから我々はヒットに持ち込めなかったのである。
その日、誰の竿も再び曲がる事は無かった。
我々は幾分がっかりしたものの、かなり余裕かつ安易な考えに満ちようとしていた。
これを払拭するようなバイト(ヒット)が明日もあればよいのだが。
それは、未来は誰も解らないという事の証明のひとつなのだろうか。
未来さえ解れば安易に事が進められるが、決まった未来や運命など面白くも何ともない世界でそれはそれで退屈極
まりない事である。
もし、それが楽園ならばこんなつまらない楽園もなかろう。
そう思ってもみたが、多少の予知能力なんてものがあれば楽しいかもしれない…そう思った。
期待と不安に駆られたまま我々は、本日お世話になった道具達を車に詰め込み帰路についた。
帰りの車は、反省と期待で入り乱れながら、昨年よりも更に加速化する渋滞に幾分疲れを増幅させられた。
バリの都心部はすっかり都会の観光地化していた。
道路の整備は追いついておらず、車線も変わらず信号も殆どない。
交通ルールはもちろんあるのだろうが、日本の交通ルールは殆ど通用しないのではないかと思われた。
そんな中を何の躊躇もなく、オージー達は原付で縦横無尽に走っている。
予想はだれもつかない
それは、相手が自然であるからだ。
楽園の終焉Ⅱ2011-10 ― 2019年12月15日 17:30
-持てる力はすべて出し切る-
次の日の朝を迎えたが、これが当たり前のように感じる。
それが、平和ということの証明なのであろうか。
明日確実にそれは与えられるという事の保障もないのだが。
当たり前の空間を平和と呼べない事はない。
ただ、こうしている間も闘争は何処かで繰り広げられている。
朝は、前日と同じパターンとなり、脂ギッシュな朝食とテーブル下の足元に群がるバリの蚊の攻撃。
その痒みにやきもきしながら、前日からの期待と不安の中に精神がある。
心の平和は、当然まだない。
昨晩も寝つけず、水風呂の洗礼かとおもいきや、蛇口を右いっぱいに切ったまましばらく出し続ける事でお湯が出る事がやっと解った。
お湯が出始めたらそれを微調整で徐々に少しずつ左に切ってゆけば丁度良い温度になる事を知り得たが、その範囲は、かなりタイトな微調整が必要なのである。
そこはテクニックの見せどころ?
であるのかもしれない。
そして、それから後に傷んだラインとシステムをチェックした後、明日に備えて寝ようとしたが隣の名人ほど眠れなかった。
なぜなのか、床が変わると寝付けが悪いが、他に理由があるとすれば、あの強烈なバイトと最初の突っ込みの過激さへの恐怖と不安、興奮故なのかもしれない。
そう思いたかったが、いつも床が変わると寝付けが悪い事を思い出した。
釣りの時は、尚更寝付けにくい。
一度も使った事のないホテル内のプール。
釣り以外の余暇は全くない。
その日の昼間は、3人で投げまくったけれど、浪人者の気配こそ感じられたが、これがさっぱり捕食してはくれそうもなかった。
手を変え、品を替えと、色々としてみてもどうにも反応は無かった。
もちろん流したポイントはどれも一級ポイントであるのだが。
それがリアルベイトであろうが他のルアーであろうが食わない時は、全くのルアーの往来だけでバイトはおろか反応が全く無かった。
その夜は、なんとも寂しい結果の夜になったがそれでも気の合う仲間との反省会兼食事は楽しかった。
いや楽しくあらねばならないのかもしれない。
このような時の場の雰囲気はとても重要であろう。
目の前にあるカサゴのフルコースを前にそう思った。
何故か粉わさびがマッシュドポテトに見える。
真に申し訳ないがこのレベルなら私でもできそうである。
店長の言葉は、関西弁混じりの日本語であったが時々聞きとりにくい。
時々見せてくれるオーナーの笑顔の奥には、殆ど無い歯が見えた。
皆と一緒にカサゴの刺身に舌鼓を打ってみる。
「スープが良いですよ。」
とオーナーが勧めて下さったのでそのアラは、スープにした。
確かに旨かったのであるが、幾分グルソー(グルタミン酸ナトリウム)の濃い味が気になった。
日本の割烹なら、あり得ない素人仕事ではあるが、ここは遠い南国の島これでよしとしなければならない。
忍者名人にその事を言うと
「この国で味の素はメジャーですから。」
その一言ですべては、片付いたように思えた。
噂には聞いていたがそれほどメジャーではなかろう。
と思った。
なんとも可哀想な感じになっているカサゴの塩焼き
カサゴは、40㎝クラスが多かった。
ボトムフィッシングでは、カサゴは入れ食いだった。
ヒメダイ(オゴダイ)もおかずになる。
何故かカサゴの画像は一枚もない。
その後、スーパーに味の素とその他に沢山のグルソー系化学調味料が大量に在庫してあったのは、それだけで証明になった。
我が国であれば、それなりの店構えならば、このような手は使わないだろう。
その夜は、ラインチェックしてそのままと言いたいところであったがラインに傷がないか確認して取り替えるべきところは取り替える事にした。
その夜も短いか長いか解らないままやはり寝付けはしなかったが、それでも疲れのせいか幾分休めた。
孤独なのかそうでないのか
それもその人の心持ち次第であろうか
独りと言うのは、なにかと寂しいもので、例えそれが珠玉の美味なる料理を中心とした食事であったとしても、ジャンクフードを皆で楽しく食べる事のほうが美味しく感じられるのは、人の力がそれだけ大きいという事であろう。
最大の調味料は、心というスパイスなのかもしれない。
東京では、"おひとり様"というお店のシステムがあると聞くが、本当に楽しいのかどうか一度検証してみるしかない。
日本の大都会では、独りのほうが、煩わしさがなくそのプライベートな空間を持つことが出来て自分だけの我儘を許される時なのか。
その時が、唯一の至福の時なのかもしれない。
それは、それで良い点もあるかもしれない…とも思った。
釣りに於いては、独りでじっくり自然と対峙して釣り糸を垂れるという事もあろう。
そのような時は、人は独りであろうが、決して独りきりではないという事である。
波の音やとりの鳴き声、小さな虫達そして、その先にはいつか来るのであろう魚達がその海原に泳いでいる。
1対1の戦いにドラマもある。
故に単独釣行の場合は、孤独な釣り師というよりも孤高の釣り師でありたいと思ったりもするのである。
たかが釣りなのであるが天上天下唯我独尊な時なのかもしれない。
本日のボーズな夜。
三人並べて丸ボーズ。
そのような結果であっても、ラインとタックルのチェックは怠らず明日へと備えた。
その日からなんとなくお湯のシャワーが浴びられるようになった。
それは、なんとも贅沢な南国の夜であった。
隣がおっさんであっても、忍者であっても歌舞伎者であっても、独りよりは、楽しいものである。
独りというのは会話もできないし、壁に向かって独り言を言うようになってしまえば恐らく心をものすごく病んでいると言うことにもなりかねない。
多少寝付けなくても、工事の音がうるさくてもそれは独りに比べれば何でもない、という事になる。
そして隣には、やはりいつもの後輩の顔がその両目を閉じてお休みである。
その11 GT釣り連チャン・・・・強化合宿へとつづく
楽園の終焉Ⅱ2011-11 ― 2019年12月26日 19:00
暖冬と言う事は、間違いないらしい。
GT釣り連チャン・・・強化合宿
最強ポイントバトゥアバに波が大きくその崖にぶつかる。
そして、サラシが大きく拡がる。
その流れは、複雑で速い超一級ポイント。
それでも3日目の朝はやはり来てしまい、日の出と共に早々に目が覚めた私は、やはり備え付けのインスタントコーヒーの口を切ると瞬間湯沸ポットで沸かしたお湯を注いだ。
ここら辺は、日本の生活とさほど変わりない。
ここに轢きたてのバリコーヒーがあればなあ…。
毎度の事のように同じ気持ちになる。
テーブルには果物のサービスが置いてあるが、それを同室者である名人が食べようとはしなかったので、私も手を付ける気になれなくてラップが掛ったまま三日が経とうとしている。
リゾート風ホテルなのだが、隣では新しいショッピングモールらしき建物の工事が夕方から夜間までガーガー、ギーギー、バッタンと工事の音を立ててくれてお陰さまで雰囲気はぶち壊しだった。
しかし、それはそれで受け入れられなければ場所を移動するしかない。
おっさん達には、毎日脂っこい朝食バイキングに多少胃もたれもあってか日を追う毎に食事は微妙に減りつつあった。
ふとお隣のオージー親子のほうを見ると、スクランブルエッグ3個攻撃には、さすがについていけないと思った。
それにも増して、衝撃は、その卵を焼くフライパンにはお玉一杯分くらいの大量の油が注がれて揚げ焼きのようになっていた。
スクランブルエッグが完成する頃にはその油をすっかり吸ってそのまま皿に盛られた。
オージー親子はそれにベーコンを乗せた。
そしてその皿のサイドにはソーセージが5~6本添えられた。
私がメタボ親父ならば、彼らはギガメタボ親子と言う事になる。
カリカリベーコンにソーセージ。
いつからそうなのかは解らないが、日本のベーコンはそうカリカリに焼ききってしまわない。
脂肪層にしっかりと脂が残っている状態である。
誰か理由を教えて欲しい。
目玉焼きに菓子パン。
それをバリコーヒーで喉に送り込む。
(この少しばかり苦みがあるこのブラックコーヒーにこの菓子パンがまた合うのだ。)
高カロリーメニューは口に運ぶまではとても良いが、その後は不快になるばかりか更に脂肪を増やすだけであった。
ホテル内は、別空間なほど手入れがされている。
流石はリゾート。
もたれ気味の胃のまま部屋に戻ると、早々に若干の不快とも何とも言えぬ胃腸と共に連れだって
ガチャガチャとロッドを束ねて荷物を肩に掛けて運ぶ。
その雄姿たるや…と言いたいところだが誰もそう思って見てはなかろう。
部屋からロビーまでのその距離は、案外あって一苦労である。
その途中に何人も顔を合わせるが、圧倒的に日本人は少なくオージーと思しき人とは頻繁にすれ違った。
しかし、お互い顔を合わせても軽い挨拶か、そうでない場合もあった。
そんな三つ星ホテルの朝の出発。
マリーナに着くと即ボートに向かうが、なぜか今日は人の群だかスタッフの群れだかは来ない。
我々で荷物を運びに行くが、ボートに着くといつもの手慣れたメイトの姿が見えない。
事情を聴いてみると彼はお祭りに駆り出されているとの事。
バリのお祭り事情も近年かなり変化して、観光業メインの島になってからは、土日祭日も仕事の場合が多く
お祭りの人材確保も一昔前とは、少し異なって集まりが悪いそうだ。
その彼と替わって、若い青年が一人乗っていた。
割合と運動神経はよさそうな体型であった。
笑顔も決して悪くはない。
目指す洋上は、スケジュールの終盤戦に入ったところ。
楽園の終焉Ⅱ2011-12 ― 2019年12月30日 18:04
スタッドレスタイヤにも換えていません。
もしかしたら、幼少の頃言われていたのかもしれませんが。
緊張の一投から、時は空転する。
空転に継ぐ空転。
回転する心。
回転から迷走へ。
頭の中は、無心と言いたいところだが、
すぐに不安が顔を出す。
それから暗転の兆し。
不安の闇は増殖する。
なんとも早く変わる心。
情けないではないか。
人の心はすぐに変わる。
3人がかりで投げては巻き、投げては巻きを繰り返すが、潮の流れは轟々と流れてはいるが一向に反応がない。
大潮が手伝ってとても早い流れは、急流の大河川並み。
これは困った。
海の上は解らない。
解らないのが当たり前。
心と気合の空回り。
魚は出ない。
出てくれない。
出せない。
出す事ができない。
全く咬み合っていない。
あっという間に1ラウンドが終わろうとしていた。
岩と岩の間をボートが流れに沿って流れて行く。
蠢く碧い龍とでも言ったほうが良いのであろうか。
青に蒼、白きに飛沫。
流れにながれて流されて。
前衛二人も疲れがでてきたのか、多少ペースが落ちたかに観えたが、それでも彼らの真剣さは変わらなかった。
今一魚の反応が無いのがとても気になったが、それも自然の悪戯のようにしか観えなかった。
ラインを回収して、改めてタックスボックスの中を覗いてみる。
今まで3日間、ペンシル系で通してみたものの、アタリは、リアルベイト130g ウメイロのみ。
この流れでは、ポッパーが良いとは思えないので、ここはあえて20cmミノー100gに替えてみた。
岩との間のチョークな流れから吐き出されるように流れる大量の水は、収まる様子もない。
「今潮があまり良くない、これから。」
キャプテンがぼそりと言う。
何度かボートを流すうち、本流筋に気配がないのが気になりだした。
そして、対岸の際から巻き返すサラシが少し気になった。
ヤツが付いている気がした。
さらに、少し気になった。
釣り人としては気になるところがあれば、そこは必ず攻めるのがセオリーであろう。
"試しに打ってみるか"
そう思った時には、サラシの中にルアーは弧を描いて投入されていた。
このパターンは、ルアーにヒラ打ちさせながらリトリーブが効きそうだ。
そう思った通りにサラシ下にルアーを流す。
20cmという小魚風の疑似餌をサラシの切れ目で横にヒラを打たせて見るとサイドフラッシュが偏光グラス越しにもはっきりと反射する。
一投目、いい感じ。
水際からサラシへとリトリーブ。
連続でヒラ打ちさせる。
"うーん、狙いに狂いがあるのかな。"
しかし、これならイケるかもしれない…そう思えてきた。
2投目
同じように波がぶつかってできる白いサラシの間に打ち込みを試みる。
連続してヒラ打ちアクション&リトリーブ。
反応はない。
ボートはすこしずつ位置を変えて行く。
3投目
"頼むよ!"
と念じてはみるものの……。
もっと岸ギリギリにタイトなポイントに投入。
"とても良いリフレクション!"
ボートはゆっくりとポイントを通過する。
リフレクションを二度、三度と入れてみる。
"グワリ"と疑似餌の左下側から巨体が反転するのがはっきりと観えた。
「出た!!!」
一気に絞り込む。
反転する奴の姿がはっきりと見えた。
空かさず竿を立ててフッキングさせる。
空かさずキャプテン、クルー共反応を見て臨戦態勢に移る。
一度間髪をいれず腹筋に力を入れながら、瞬発的に合わせを入れた。
2度ほどリールのハンドルを巻き、鋭く息を吐き、
追い合わせを鋭くもう一度。
そしてまた2度ほどハンドルを回して巻きあげる。
ロッドが大きく弧を描くが、リールが堪らんと言わんばかりに、リールスプールが逆転をして悲鳴を上げる。
このTICAタリスマンは、当時格安大物用スピンとして注目を浴びた。
まさに?TALISMAN?であるがその後全く聞かれなくなったのは残念である。
とてもとても強く、流れも増して更にリールの逆転に加速させた。