楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-7 ― 2018年10月23日 20:19
軒並み、持てる技はある程度出し切ってはみたものの、相手の防御は完璧なのか半分お手上げである。
ちらりとCapt.の様子を偏光グラス越しに伺ってみるも、その髭を蓄えた風貌からは想像もつかないほど渋い様子だった。
彼の顔をみて更に現実を受け入れなければならない状況ではあった。
むなしく、ポップ音が潮騒にかき消されるほどに、気合さえも、一緒にかき消してゆく。
その日のお弁当はと言えば、日本食であるがその味は釣果にコートされて味も伝わらない。
「まあ初日だから…。」
と気休めに皆で気持ちを共有する。
良きも悪きも戦友といったところか。
今のところ幸い脱落者はいないようで、希望はまだまだ感じ取られた。
午後の中だるみを払拭すべく、若手将校たちは艦砲射撃を続けるのだった。
かつての私の祖父達が傾倒していた巨砲主義は、今は形を変えて健全なスポーツで活きて?いるのか?
その日は最後までヤツは姿を現せる事なく終わった。
「ありがとうCapt.また明日お願いします。」
キャプテンは冴えていない顔を最大限に笑顔に変えて手を振った。
その晩のビールは美味しかったかどうかは聞いていないが、コーヒーで済ませた私はコーヒーだけは旨かったように思えたが、気分は若干ブルーだった。
何をここまで来て考えているのか。
未来の日本人の言葉には「旅の恥はかき捨てよ。改め、旅の恥も持参しろ。」が適切なのではないだろうか。
クルーもプロの心は持ち合わせていて、客の不振に同じく浮かばれない表情で港を後にした。
しかし、我々はここで諦める訳にはいかなかった。
ああ大戦中でなくて良かった。
ご先祖様達はそこを死守するように言われていたのには、頭が下がるのであった。
彼ら英霊の躯の上を我々は踏み台にして経済大国にまでのし上がったのだろうか。
辛い過去からの脱出をして60年以上が経った我々の祖国は、2010年迷い人の集まり国家にも
見えてくるようになった。
その8へつづく



