楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-11 ― 2018年12月11日 11:26
幼き頃、1年が大変長く、入学、進級、夏休み、お盆、秋祭り、お正月他とイベント毎に楽しみがあったと思う。
間にいしじのミカンを取りにいったりした。
いしじは石地と言う。
私の父の母方の姓になります。
それから、大学を最後に学校と言うものには行かなくなった。
当たり前の話ですが、それでもイベントは沢山ある筈に違いません。
それが、楽しく無くなってゆくのが大人?の世界なのかもしれない。
正拳
-そこから繰り出すもの-
MOON862-TCDH-KVGとその先にいる浪人者
ツインスピンとの相性もばっちり。
その先には、すばらしい引きの浪人様が
がっちりのバランスを取る氏。
2018年ともなると、そのやり取りもIGFAベースのファイトは少数派になっているらしい。
KVGとツインスピンがいい仕事しながら、とても良いペースで距離を詰めて行く姿を観て
オーナー氏の勝利は目前と感じた。
クルー達もそう思ったに違いない。
透明度の良い水中から幾分銀色のグアニン反射。
徐々に銀影は大きくなる。
「リーダー、リーダー。」
クル-がリーダーをよこせと2度ほど合図を送る。
水面に浮かぶGTは20kg前後。
完全に浮いた。
ピシャ・・・・・。
反転して勢いよくシルバーが底に向かって行く。
「あっ!」
皆から声が上がる。
水面でバレてしまった。
水柱を立て反転 下降しようとするロウニンアジ
この後急速に潜って行った。
・・・・そんな・・・・こと・・・
たまに・・・ある。
リーダーインしたのでこれは獲った事になる。
とは言ったものの、その魚を画像に残す事が出来なかった。
若干の残念。
しかし、ここは本日のここのポイントでの一投目。
誰もがこの日の幸先のよさと、彼に運勢の波が来ていることを我々おっさん達は、ほぼ確信していた。
それから、快進撃が始まろうとしていたが、運勢とか気運とかは、波があってその最大限(ピーク)は誰も予測できない。
後から思う事は、あの時が最大の波だったね。
と思う事が多々あって今回もT氏がそれを後で細かく分析して語ってくれた。
それを腕組みしながら聞きつつ、私はうなずくのであった。
カイザー号の‟とも”
少し古いがそれでも快適なほうである。
人は一人では生きられない。
自分の気の波さえも解らない。
自分の事なのに。
自分自身の事も全く解らずにいる我々。
なんといと小さきものか。
少しだけ自分の良心に聞いてみたりもする。
後の後悔先に立たず。
昔からそう言われるのは、それなりの現実の現象なのであろう。
それからしばらくは、彼に運勢は傾いていたと思われる。
彼の投達点は、丁度痒いところに手が届くキャスト。
流れる如くのラインスラッグ(糸フケ)の回収。
流れに乗せながらのジャークアクション。
とてもリズミカルなストップ&ゴー。
いい感じ・・・とても・・・出そうな感じ。
あとは魚だけ・・・。
その後彼のヒットは続くが、それは大型のスマと同じく中大型のカスミアジであった。
I氏とカスミアジ。
なかなか美しいのは、言うまでもないか。
ロッドはその都度いいカーブを描くが、もはや敵ではなかった。
その運勢の中で、T氏が動いた。
流れはT-氏に移りつつあった。
神々の気まぐれ。
T氏は休む事なく、ルアーを投げ続ける。
淡々と投げては巻きまた投げる。
汗も滴る。
その時であった。
「ああっ!!ヒット・・バレタ! …ああっ!・・・。」
ロッドが弧を描き、ドラグが鳴る。
S社の最高スピンのドラグはとてもスムースである。
立て続けのバイト(捕食)をものにする。
このようなS師匠譲りの正攻法パワーバランスファイトは2018年現在としては、流行らないらしい。
何と最初の一撃では喰い損ないでフックアップに至らず、
更に 追い食いで針掛かりしたのである。
もう彼の快進撃はもう止まらないようだった。
上手くバランスを取るT-氏と浪人鯵
魚は下へ突っ込む。
安定のファイトは、やはり同門の弟弟子にあたる。
魚は勿論、Speed&Powerful。
相手にとって不足はない。
そうあっさりとは浮かない。
魚にとっては命懸け。小林さんのSEEDである。
それも皆から忘れ去られてしまうのか。
しかしいい竿には変わりない。
それを彼が再び表舞台に押し上げて命あるところへ誘う。
それにリールは、最新型のスピニング
堂々の成魚はお見事。
彼の釣り運は止まらない。
彼のスレンダーなボディから筋肉がバネとなって連動する。
道具にも落ち度はないが・・・。
と・・思いきや、 いきなりバットキャップが落ちたのには少々びっくりした。
T氏の話によると、コロコロ・コロ・・・・ポッチャン・・・・。
だったらしい。
このような事はそうないが彼の運勢はそこで終わった訳では無かったのは良かった。
T-氏は結局その日は2本、この3日間でトータル3本キャッチの良果だった。
本日の2本はいずれも1990年代当時のアベレージとすればかなり大きい部類に入ると思う。
それほど見事に丸々と太った魚体であった。
T-氏にも実感はあったと思われる。
T-さん次は、通算30本目のマーリンですか?
楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-12 ― 2018年12月15日 12:05
元気そうでしたが、少し仙人に近くなった気もしてきました。
孤高である事は、大変な事で、このエンターテインメント満載のご時世では、ぶれない心は流行らないのでしょうね。
なんでもありな昨今。
それが現実なのかもしれませんね。
達人とは、どんな刀でもある程度のその技量でなんとでもなる。
逆にどんな名刀でも我流程度では、限界がある。
神々のいたずら
小手返し
神々が居る島で、神々に翻弄されるのだろうか。
神のご加護をひたすら祈る。
船の流すコースは流れに添って、船は舳先からポイントの射程に入る。
今日は最終日の彼らに任せよう。
私とH氏はその一言で一致したがずっと眺めても仕方ないので後方から投げて観る。
しかし、やはりいいコースは外れてしまうのは僅かなストレスにもつながりそうであるが、性懲りもなくまたキャストする。
時に思う事は、一人でのチャーターはとても良い気がするが、案外と状況の把握が難しい上に、何よりも気持ちのモチベーション維持には幾分諦めが早くなりがちであるので
良い仲間はやはり必要になってくる。
おっさんチームは、後方で見物を基本としつつ投げては、水を飲みまた投げる。
ダノンのカップウォーターは180mmくらいしか入っていないので、時々それを指で開けては喉を潤す。
陽射は上々。
そして日頃は、殆どこの歳になって飲む事がなくなったコカコーラ―とスプライトの瓶を栓抜きで開ける。
幼少の頃とても美味しく感じたあの甘い味となんとも刺激的であった炭酸が喉を刺激するあの感覚。
ポシュゥ・・というあの音を懐かしく聞き、瓶口を口に運ぶのである。
※画像下半分はカットしました。
おじさんは、緩んだ腰ひもを締め直す。
気合いは十分なのか。
後輩の顔は、その揺れで死んでいる。
名前は洋二なのだが。
栓抜きが必要な事は、現在の日本ではあまりない。
白粉の如く日焼け止めを塗りたくるが、汗と一緒に目に入って来てこれが結構痛いのであった。
これってなんとかならないものか。
それと整髪料が汗で溶けて目にしみるという事は、ないだろうか。
私は過去にそのような事が何度かあったので頭から真水で洗いたい気持ちになる。
激流のすぐ脇を絶妙なタイミングでCapt.が流しているのが一目瞭然。
上手い。
その一言しかない。
暫くキャストを5人で繰り返すが、反応は全くなくなった。
それでもキャストは止めない。
いや止められないのだ。
潮の微妙な動きに敏感なのか魚もぱったりと出ない。
ただスプライトと水が消費されるだけ。
そしてコカコーラのローテーション。
頭には、“イエモン”でも“おーい”でもいいからそのようなものも欲しいと思ったりもする。
潮に流して操船しておくと、あるところで船が回転を始める。
キャプテンは上手く反転させると、そこで目前に視界が広がった。
暗闇からの脱出とも牢獄からの解放とも言える視界はお見事という感じであった。
海原に怒涛の如く流れる潮と渦と波。
その流れの中のサラシの泡が気配と期待を打ちあげる。
S社の安物限定ペンシル185F(と言っても3600円を安物とは言えないのが本音。)が高級ペンシルの間に分け入ってアクションする。
それが流芯を少しターンした頃、突然の捕食(バイト!)
疑似餌を咥えて、加速するロウニンアジとそれを制御する筆者。
トラベルBG-73が一気にギュン!とバットまで撓る。
空かさず、腰の捻りを入れる。
バットまで入れ込む。
クル―の声と共にキャプテンの「いいサイズ!」との御声がする。
彼は決して大きい声は出さない。
SHIMANO SARAGOSA 14000F から糸が出る。
一気に下へ絞り込む。
静かなるプロの声であって、煽りもしないが、冷静である。
そこはUSAのCapt.とは異なる、アジアな感じ。
キリキリときしみ音をたててS社製(日本国内では売られる事もない黙殺させられた)14000は、キリキリと歯ぎしりを立るが如くに糸が出てゆく。
トラベル73GLは一気にその粘り腰を活かしてその先の疑似餌を加えた奴をねじ伏せにかかるが、それは“柔よく剛を制す”。
首を振る奴に答えてゆっくりと締めにかかる。
“剛良く柔を断つ”と言わんばかりの浪人者の切れの良い太刀は、必至である形相と思われ、流れの中に突っ込む。
テンションは高め、決して伸されることもなく、バット部分までひん曲がるが、更に腰を興すとゆっくりと竿が起きてくる。
空かさずリールイン。
キャプテンが絶妙なスピードで上手く根から剥がす様に操船する。
それがまた重いのであったが、伸される訳にはいかないのは、釣り人のプライドなのか。
あくまでも太刀打ち勝負であった。
釣竿による釣りの基本はのべ竿である。(歴史的に)
リールのないのべ竿で伸される事は糸が切れて魚が逃げて行く事が想像される。
それで勝負は終わり。
リールの高性能ドラグのみに頼り、竿の性能を使わない釣り方が一部行われているようではあるが、それはウインチのみの漁と変わらないのではなかろうか?
魚が下に下にと伸してくる。
73BG-TRAVEL3pcsをかなり絞り込んで行くGT
下に下にと伸してきてからが結構つらい。
激流のGTは、かなり強い。
ほんと強い。
Capt.は魚の方向を細かく観ながら船を上手く廻してくれる。(うーん、プロです。)
ここからがこの魚の重いところ。
魚は、横になって踏ん張りを効かせているころであるがスプリンター系のアジ科の魚。
なかなか奴も“しんどい”ところであろう。
勿論こちらも“しんどさ”はピークではあるが流石に重い。
下に入ってからの浪人者は重いのだ。
H氏の5分経過のアナウンスが入る。
時間が勝負では無いけれど、この僅か5分でも乳酸値は更に上がり、無酸素運動はもう限界にきて、息が上がり始めている。
空気を取り込んでは、吐き、体温も上がる。
艫の場所では、フットポンピングも使えない。
締めが利いたか奴は少しずつではあるが明らかにリールインされて行く。
ショートポンプ、リールインして間合いを詰めて行く。
魚とて一気にもうダッシュした後の更なる運動は、相当堪えている筈で徐々に絞り込まれたドラグ値限界までそう到達することも徐々になくなってはきた。
「リーダー。」
キャプテンが言う。
「でかい!」とありきたりではあるがそういう時はそのような言葉しか出ないのであるが、皆その言葉を口々に言うのであった。
空かさずクルーがリーダーをとりにかかる。
二人がかりでランディング、ネットイン。
流石は彼らもプロである。
確かにそれはT-氏のものより一回りと半以上大きかった。
浪人鯵としては、大型の前側には入っているサイズ。
分厚い筋肉。
「カンパチみたい。」とい言われて確かにそう思った。
皆口々に「でかい!」とか「すごい!」とか、“最小の動きで最大の効率”とか言われ放題。(単なるいいとこ取り・・・・とも。)
当人は息もあがり、そうかっこよくも無く淡々と写真を取ってから、二人がかりで浪人者を抱えて神の待つ海へと放ってやる。
ありがとう!と素直に感謝する。
碧い海の中に息づく自然の鼓動と神々が住む海。
ここで一番かっこ悪いのは少々疲れ気味の日本の親父かもしれない。
かっこ悪くても良いではないか。
この時はそう思えた。
アキュレイト社のプライヤーが役にたった。
丸々と太ったロウニンの帰って行くその先には、回復を待つ前に、さらに大いなる頂点=鱶が口を開けて待っているのかもしれない。
格好の餌食。
食物連鎖の途中に若干の想定外の異変があり、それが人間の介入であった。
末路はあの軟骨魚類が襲うのであろうか・・。
彼が運よく海原を遊泳することを祈る。
全く魚眼レンズは使わない。
横長の丸っこいロウニアジは、筋肉の砲弾。
ここでは、このタイプのロウニンを何匹か釣った。
そして今でもその威風堂々の浪人者であることを願うのであった。
楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-13 ― 2018年12月21日 13:57
同胞たちの休息
同胞とはまず信じるところから始まるのであり、それは絆という言葉にやがて変わって行くものであろうか。
それは、単なる希望かもしれないがそうあって欲しいと願う。
一生の間に人は、何人と親友や同胞と呼ばれる間柄になれるのであろうか。
それは鼻持ちならない小金持ちになるよりも難しい事なのかもしれない。
適当なメニューだが、致し方ないところである。
島だが、魚介類は高級品らしい。
そこには、H氏の推奨で連れて行ってくれた日本料理屋があった。
国の食事は国で食べるのが一番であって、決して外の国で日本料理に期待してはならないのが鉄則であるのだが、なぜか行ってしまう。
ただし、そのオーナーが日本人であるかどうかは重要である。
その日本語は怪しい文字や表現はないか、オーナーはお決まりの中国人なのではないだろうか?
これだけ日本食がインターナショナルになった今現在、見極めには、なかなか注意を要する。
このバリでも注意は必要ではあるがそこはH氏推薦のものであるので外さないのはほぼ確実だろう。
(彼の味覚が確かなものであれば。)
店主御勧めのグルーパーやフエフキは、癖もなく、鮮度も上々、味付けも良く、日本とそう変わらない。
いや外した店は日本にもある。
そういう面ではここの日本料理は美味しいほうである。
その味加減も上々で素材の味が生きている。
地元のバリ人は、店員以外はいない感じであり、ここが地元価格で無いのは良く解った。
所謂お金のある人が来る和食屋さんという感じであろうか。
ビールとウーロン茶で祝杯。
お疲れ様といいつつ、来年の抱負となった。
しかし、この貝とエビはあの淀んだ水の中で育ったものだろうか?
この疑問は、全員共通一致の疑問であった。
彼の味覚はどうやら間違ってはいなかったようである。
2日目のレストランで、恐怖のグラミーフライ。
痩せて更にととても不味かった。
少しケミカルな味もしたような・・・・。
単なる話のネタと割り切ったところも見受けられた。
はっきり言わせてもらえれば、とても美味しいとは言えない。
その割にはかなり割高の痩せた熱帯活魚でしかない。
水槽で暫く買われた熱帯魚のから揚げがその名に相応しい。
2度と食べたくはない。
仲間というのはいいものである。
それは、幸せも苦労も共に共有することができるからで幸福も分けられる訳であり、苦労も分割できる利点がある。
問題は、その仲間の質がどうあるかにもよるが・・我々は少なくてもこのツアー中紳士でいた事は言うまでもない。
それが海外にでるものの日本人として恥ずかしくない態度であると思う。
先進国面したお金持ちが目下のものを召使の如く扱うのには、いつかしっぺ返しをされるのではないか?そう思えるのだ。
海外に出るとあらゆる差別はまだまだ生き続けていると思える。
この差別はまだまだ世界中の常識である事は、日頃あまり語られる事はないだろう。
次の日先発隊の2名は夜中の飛行機であの殺伐とした故郷日本に帰るのであった。
彼らの夢は、また近い未来に実現するであろう。
夢は大きい方が良いというが、現実に訪れる事を願う。
いつか実現しようとすれば気運もそちらに流れて行くと思うこの別れであった。
また日本で会おう。
しっかりと仕事をする、リアルベイト サンマカラー。
当然ここにはそんな魚は居ない。
なにをもってリアルなのかは謎のままである。
現地時間の夜10:00時お迎えが来て彼ら一陣は帰国路についた。
この冴えない先進国での成功を祈る。
楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-14 ― 2018年12月24日 09:19
それは、素直に認めます。
それではその14です。
脱藩者の行方
現地の釣り人。四万十川でも似た人を良く見かけた。
案外、ゴミは多く浮いている。
生活ゴミ満載に近い。
これが楽園の海とはにわかに信じがたい。
通常脱藩して浪人者となれば行方もしれず、武士とは名ばかりの位置でしかない。
その立場はなかなか辛いものであろうが、脱藩となればその一族まで辛いものとなったらしいがその実際はどれほどのものだったか解らない。
ただその浪人者の一人が歴史を変えた脱藩者もいたのも事実なのだ。
親父組2人と親父候補(もう半分親父)のH氏といつものホテルで毎朝のナシゴレン。それなりに油も効いてくるので、麺にしたが同じ味で少し甘くおいしい・・・のであるが流石に5日間続けるとバリコーヒーが主体になって来る。
それも普通のティーカップに注ぐ為、3杯くらいは常になる。
隣のオレンジジュースは果汁10%程度の昔良く飲んだ味。
日本で飲むと不味く感じるこの味もこの国では美味く感じたりするのは不思議である。
時間通り、ホテルのロビーで待つが、なんと運転手が昨日と違う。
聞くところによると、「出迎えの運転手は突然解雇になってしまったので今日は違う。」との事だった。
Capt.の表情は少し晴れた様子でいつもの笑顔にも重みはないように伺える。
テンションも親父組らしく、落ち着いて少し静か。
洋上では、浪人を追って揺られる。
船は前後左右に揺られて急に減速して大波を越えてさらにまた加速を繰り返す。
どうした、後輩!
もはや、限界なのか。
いつもの水産スピリットは何処にいったのか。
元競技スキー部で元潜水マニアの洋二氏
いずれも筆者が不得意とする分野である。
こと、スキーに関しては全くセンスもない。
ふとH氏が気になり彼の方向をみると、やはり元気は少しなさそうに感じ水木しげるのマンガに出てきそうな魂の抜かれたサラリーマン風になっていた。
“よほど気付かれしているのかな”
まだまだプレッシャーの中にあり、疲れもピークなのであろうか。
ここのポイントがベストなのかボートは計3隻。
流す位置は若干違えどもそれぞれがそれぞれでの思うところがあるのだろう。
さて本日は、舳で投げる人がいない。
既に、2人は日本に帰国していると思う。
「さあ、じゃあ投げるか・・・。」
親父達が浪人を狙う。
今日はリアルベイト130gを主力に投げる。
相変わらずS社のリールは秀作であるが色気も素っ気もない。
そればかりか、SFアニメから出てきたようなデザインは親父には受け入れ難いものがありそうだ。
高級8本撚りのラインは、その細さからは想像もできないほどの強度。
これが近年のライトタックルの歴史を変えたと言っても過言ではない。
そのラインに合わせたロッド、リール。
そして最上を誇るS社のスピニングリール。(どうも好きにはなれないけれど選択枝はそうないのが現実である。)
肩が軋み首は痛み、腕は痺れる、情けないが仕方がない。
腰が痛むがこれも仕方がない。
手首も痛むがこれも仕方がない。
すべてとは言わないが若気の至りの結果である。
肩と首は職業病に近いとは思うが。
「潮が良くなります。 」とCapt.が小さい声でいう。
いい磯場に切り立った磯がうまく流れを小さく絞り、激流を呼ぶ。
碧白潮流は青龍となって、川の激流の如し。
リアルベイト(疑似餌)は、激流の潮騒にかき消されて着水音はボートまでは伝わらなく、白に揉み消されそうになるが、ラインスラッグを回収してその行方を確認する。
BG73Travel rod に最初のジャークを入れると擬似餌は激流を噛んでヒラヒラとヒラ打つ動きをする。
‟これは、喰う。“
太陽光を僅かに反射して、波に揉まれながらも目視可能。
キャストしてはアクション、またキャスト、その繰り返し。
その繰り返しの作業ではあるが 暫くすると釣り人の勘というか第六感というか、海中から漂ってくるなみなみならぬ生命感だけが感じられるようになる。
これだから釣りは辞めることができない。
己の野生を呼び起こす。
「アワセテ!」
ロッドがキュンと曲がる。
腰を溜めて一回、二回ほどアワセを入れてやる。
一気にロッドはバットまで撓るとたまらず我慢していたリールからギギィ・・・ともジャーとも解らぬ悲鳴を上げて奴の首振りと同調しきれた筈のロッドの撓りと同時に音を立てていった。
楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-15 ― 2018年12月28日 18:10
獲物
ナチックに襲い掛かったロウニンアジ。
ほんと惜しいルアーであるが、既に廃版の1発勝負。
緩すぎれば糸はどんどん出ていって根ズレを起こしてブレイクするし、ドラグを締めすぎると今度は高切れやアワセ切れ、あるいは、ロッドの破損に繋がる。
丁度良い勝負どころというものが必要であるが、この魚の時はドラグ値8kg前後であった。
かなりのドラグテンションではあるが糸も簡単に出して行く。
竿がギュンと撓る度にギ―、ギ―とリールが音を立ててまたラインがでる。
しばしその悲鳴を聞いてはみるものの潮音にかき消されつつもラインローラーのキリキリという音ははっきりと耳元まで届き、根まで持って行かれないところで止まってくれるのを願うと同時に、もう少しドラグを締めにかかる。
魚が船より遠い時は、ラインとロッドの角度は鈍角になるのでそれに合わせてロッドを立てる事ができるのでバットのパワーを最大限に使って魚にプレッシャーを与え続ける事ができる。
糸を少し出しつつも止まる気配を見せ、止まった瞬間にポンピングをかける。
根際のファイトは、ライン切れを防ぐためにも早急に回収したいところである。
そこでCapt.が根から剥がす(水深のあるより安全な場所)為に船をゆっくりとゴスタン(後進)をかけて行くがそれがやはり絶妙なタイミングで息をアングラーにぴったりと合わせてくれる。
プロだな・・・何度も感心する。
日本にも優秀な遊魚船の船頭さんは多々いるが、このペースで常にアングラーに 合わせた操船をするCapt.はなかなかめぐりあわせが少ない。
自国に於いては、多人数乗船で多くの仕掛けをボトムに立てながら上手く操船する技術は、世界一と思われるが、魚が掛ってからのサポートとなると全くノーサポートという場合もあり困惑するのもしばしば。
乳酸値はかなり増したと思われ、痛めたまま一向に回復の兆しの見えない右肩筋肉が、悲鳴を上げて、あの何度か経験しためりめりと筋肉が剥がれるような感覚と痛みは耐えがたいものではあるが
戦闘態勢にある体内の影響でアドネナリンの引き起こす興奮と、脳内モルヒネ?風の痛覚を感じにくくさせる機能の御蔭で(はたまたバリの神々のおかげで?)ファイト中の痛みはあまりない。
じわじわと(後進)ゴスタンが効いてくるがその間のハイプレッシャーでロッドを溜めるので精一杯であるが、Capt.は、それも良く観ていた。
できるだけアングラーの負担を最小限に抑えるように後進を微妙にかけて行く。
ここで今一部のアングラーの間で行われている、ロッドを寝かして伸した状態で後進をかける方法を行えば、ロッドワークしながらよりも楽に魚を寄せ獲る事で自体は楽になるし、アングラーの負担もさらに軽減されるがそれは、ウインチ釣法とまったくなんの違いも無いのであくまでもロッドで戦う方向性に変わりはないのであった。
ゴスタン(後進)と共に圧し掛かる重量感。
水流と魚の抵抗で水圧を受けてロッドがさらにバット上まで曲がり、首振りを上手く吸収しながらも 隙あらば、リカバリ-(復元)しようとする。
RODがじわじわと復元し始めると、その間合いをショートポンピングでリールインして行く。
ショートポンプは1リフト1回転のリールイン。
グワリと竿先が起きてくると2回転程度のリフトをするがボート下に来てからの重みは更に脚腰の筋力を使う。
言葉ではそう表現程度であるが本人は至って辛くここが勝負どころとなる。
丁度ボート下攻防の中盤、いやなサラサラというか、コリコリという感触がPEラインを通して感じる。
“やばい、擦ってる”
‟ライン擦ってるよ“
ここでラインブレイクする訳にはいかない。
懸命にリフトにかかるがドラグ摘みを絞り竿の限界を伺いながら判断し、少しずつテンションを上げて行く。
暫くして、ふっとそのこりこり感が無くなる。
‟よし、回避”
しかしながら、奴も最後まで諦めようとはしなかった。
魚も限界まで走り続け、底棚をキープしようと最後の抵抗に至るがこの時間は最初のダッシュを凌いでから3分、5分、7分と過ぎて行った。
どうやっても辛いものは辛く、その‟しんどさ”に変わりはないが、魚ももう勢いよくドラグを出すことはなくなった。
竿をめいいっぱい曲げる事が最大運動となってくる。
エネルギー不足と運動不足の膝が笑いそうになるのを感じる。
その針から(苦しみ)からなんとか逃げようと浪人者は必死の抵抗を続けるが、奴も(私も)筋肉中の乳酸値はほぼ最大に引き上げられている頃である。
誰でも今置かれている苦痛や苦しみ、心の闇から逃げたいと思っている。それは浪人者だけの話に留まらない。
暴虐的ともいえるロウニンアジの引きは、そのピーク時は果てしなく続きそうに見えるが、重くのしかかってくるテンションとは裏腹に起承転結の解りやすい魚らしく、潔い魚であるかのように少しずつ、少しずつではあるが浮いてくる。
H氏が「平野さんガンバ!」と船酔いで気持悪そうな顔から最大限に励ますように一言声をかけてくれた。
彼にしてみては最大限の応援だったかもしれない。
ふと横を観るとダイビング船が我々の様子を見学していた。
ダイビング船のキャプテンとこちらのキャプテンとでなにやら大声で話していたが現地の言葉に理解出来なかったが
恐らく、なにが掛ったのかという質問にロウニンアジのいいサイズという会話であったと推測できる。
暫くの間、その船は、我々のボートの回りを廻りながら見学をしていたが、一向に上がる気配のない様子に諦めたか、元々ダイバーには関心が無かったのか、すっと居なくなってしまった。
10分以上が経過したと思われる頃、不具合な腰が限界に近いような気がした。
ほぼ直下のファイトはまさに骨が折れるという表現がぴったりであるかのように苦痛に満ちている。
それでもアングラーはショートポンプで間合いを詰めるいや釣人の性で詰めざるを得ないのである。
一体この状態が何時まで続くのであろうか。
魚との間合いはもう15mくらいではないだろうか?
とすればあともう少しの辛抱となるが。
しかし、もしこのテンションであと10分踏ん張らないと行けない、という事であれば一体己の体力は持ち堪えることができるのであろうか?
咄嗟に思い浮かんだ言葉は、
「HさんHARNESSを出して来て!Reel Restと・・・・・。」
状況判断としてはベターと思われた。
船はヒットポイントよりかなり下流に流されてそれに潮がぶつかって大きく揺れる。
それが魚をよりいっそう重く感じさせるのであった。
もたもたしながらもHがハーネスを掛けてくれたが、セット完了の時間には、魚は先ほどまでの横に貼りつくような引きとトルクは感じられなくなり、すいすいとリフトアップするとすいすいと上ってきた。
H氏が隣ででかい!でかい!と連発してくれて、クル―は2人掛りの体制にバタバタと機敏に準備をし始めた。
「リーダー!」とCapt.が叫ぶと一人が手際良くリーダーを掴み一人がその大タモを魚頭に向ける。もう最中は殆ど動けない状態であり、それはあのサットウ(アブラソコムツ)の往生際の悪さとはまったく正反対でもうどうにでもしろと言わんばかりの往生際の良さ。
H氏の気分優れない顔からも、よほどの大きさなのか目が輝きに代わっているのは流石に釣人だと思った。
無事ネットインして皆興奮の坩堝にはあったが、本人は安心したとたんに笑顔もそこそこに、うまく表現できなかったのである。
これが欧米なら歓喜乱舞系か、日本人でも最近はそういう人も見かけるが。
やっと来たか大型浪人
バイト後のターンではこのパターンのフッキングが多いが、魚を浮かせるにはこの針掛かり位置ではアングラーが、
なかなかかなり辛いパターンに思える。
ルアーは、やはりリアルベイト130 サンマカラー
最も信頼の厚いルアーの一つである。
その16へつづく
楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-16 ― 2018年12月31日 10:02
今まで応援して下さった皆さんに、心より感謝申し上げます。
あっと言う間に師走も最終となりました。
動画は、楽しく、素晴らしいものですが、今のテクノロジーではどうにでも加工できます。
娯楽ならそれでよいのですが、ドキュメンタリータッチと謳ってもその真意は素人には解りにくいものです。
釣りと言う文化は、世界共通の楽しみでもあります。
二人がかりでも一発目ではボートに上げられず、2回、3回目でようやくボートに入れることができた。
空かさずクルーおよびキャプテンと友人達に感謝。
心の中でバリの神々にも感謝をした。
お見事のお言葉をH氏から頂いて、ようやく彼の肩の荷が降りたと認識できた。
分厚いコート被膜にその牙を立てる。
リアルベイトサンマ
ここでアングラーは勿論ゲストではあるが、感謝の念は決して忘れてはならないと思う。
良い仕事をしてくれた人への感謝の念は、最低限のマナーであると痛感したのであった。
この小さな出来事が今回の最大限の収穫であったかもしれない。
迅速にフックを外す事は最も重要であるが、バーブレス(カエシ無)とは雖も素手では外せないし、魚へのダメージも大きい
お互いにこの感謝するという事ができるようになれば、現在のあらゆるいざこざは無くなるのではないか?そう思ったりする。
狭い釣業界のプチ有名人のエゴの張り合いのつきあいほど疲れる事はないのである。
今回の最大の浪人者老成魚の風格
ロッドはBG73-GLTRAVEL73 3pcs
マルチピースとしての集大成である。
その後、たくさんのこの手の竿が世に出回るがこのクラスはそう無い様である。
需要がないのであろう。
昨今の魚眼レンズ撮影はしていない。
魚を無理やり膝前で立てると、腹部の負担もかなり大きくなると思われる。
昨今は、魚眼レンズでより大きく見せる事ができる撮影が流行っているらしい少し違和感なのは、異常なのだろうか?
脱藩者の最後は
過去にあの歴史を動かした脱藩者は、最後には切り殺されてしまったが、彼は今でも歴史の中心人物として名を残しているのは事実である。
この老成魚の鰓骸は、まったくもって動いていないほど、疲労困憊、瀕死の状態に近かったがクルーの最大限の努力によって海へ帰っていった。
その後、彼が生き延びられたかどうかは定かではない。
またまた鱶の餌になったかもしれないし、絶命したかもしれない。
海に帰すことに意味がある、ともいう人も過去にいたがそれは、それで海に帰すことだけに意味を見出した人の意見で、同じ帰すならば原状復帰に近いところまで面倒をみるのが筋であろう。
所詮ゲームとは言えど狩猟スポーツ故に、この老成浪人鯵の運命は、リスクを負って海原に放てられた。
バリではロウニンアジは列記とした貴重な食料であり、ごちそうであるのは間違いない事でそれは誰も否定できない事実。
それを捻じ曲げてリリースすることが偉いなどとは決して言える訳でもなく、それは、先進国の恵まれた環境にある人間のたわごとなのかもしれない。
元来、釣りという行為は狩猟行為なわけであって、それが豊かさと共に文化とかスポーツという言葉に換えられて続いているだけなのかもしれない。
問題は、いまある問題や課題から目を反らすことなく、向き合って常に改善されていくことにあるのではなかろうか。
もし、本当の意味での環境保護まで考えているならばあらゆる総合的な打開策が必要となると言えるだろう。