楽園の終焉 END OF PARADISE 2010-Ⅰ-32018年09月18日 17:23

その3

それから時は過ぎて

港の風景


 高知の良きアドバイサーであったO師匠は、20年位前、あと数本残っていた丹吉の手打ウルワ針を私にプレゼントして下さった。
現在からすれば、クラッシックな部類に入ってしまうかもしれないが、師匠は1970年代にトカラ磯通いをされた強兵である。
当時の道具は尖閣とか・・・・リールはPENN SENATORしか無かった時代でありそのヘビーな道具による“さしで”勝負したらしい。

SENETORが磯師のスタンダードであった時代。
 「ケツが踏ん張っても、踏ん張っても浮いて来て、このまま海に落ちそうなギリギリのファイトで、もう命がけよう!」と当時私にお話ししてくれた。
師匠は、30年以上も前の19701980年代前半に、既に一騎打ちで30kg以上のガーラ(GT)とガチンコファイトをしていたのである。
そのウルワ針が何処に仕舞ってしまったのかどうしても分からない。
人の記憶は、褪せていくものか。
師匠は、もうトカラでヒラアジ(浪人鯵)を狙う事もなくなったが、その話は私の脳裏の中で風化しかけては、またふっと思い出してしまうのであった。

 現在、日本の釣道具類は、世界最高水準であり、
浪人鯵という名は、ヒラアジとかロウニンとか言われるよりもGTと呼ばれる様になった。
しかし、このGTという呼び名は少々厄介であり、こと釣りをしない人への“GT釣り”という言葉は、全く通じない言葉になったりすることがままある。
「それってなに?」
「ロウニンアジといいます。」
「なんだぁ、アジか・・・・。」
「はい・・・・アジですがちょっと巨大です。」
「大きいアジね・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」

おおきな鯵


確かに大きい鯵には違いないけれど。

ああ釣りとは、なんてマイナーなスポーツ/趣味なのであろうか。
極たまに、釣りをしない人との会話がとても億劫になる
のである。

ロウニンアジを探す

確かに大きい鯵には違いないけれど。

その4へつづく