楽園の終焉Ⅱ2011-13 ― 2020年01月02日 09:04
あまりイカシテいないリールが、ギリギリというスプールクリック音が耳元から響き脳を刺激する。
機械クリック音なのにその刺激は、条件反射のように脳内を思い切り刺激するのであった。
まるでパブロフの犬。
更にその脳内では、その強力な尾柄部を最速で動かして海中を突っ切ろうとしているヤツの姿が想像できる。
これがあのPENN社のSPIN FISHER SSならば、かなり小気味のいい金属クリック音なのであるが、残念ながらこのリールは、その上品な音とは少し遠かった。
なぜか最近のこの手のリールのドラグ音はイカシテいないと思うのは私だけであろうか?
TRAVEL-73BG:当時画期的な3pcsのトラベルロッドを製作する。
絞り切るが折れる気がしなかった。
それからずっと後になって国内でマルチピースの竿を多く見るようになった。
ロウニンアジのエンジンの回転は一気にトップギア。
ロウニンアジの無酸素運動エネルギーは全開。
ふとアスリートに例えると、一体…どのようにカテゴリーされるのだろうか。
400m走者なのか800mなのか。
いずれにしてもそんなイメージを勝手にしてみるが、恐らく経験者の多数は私と同意見なのではなかろうか。
「ドラグもっと締めて…。」
とバチョが言う。
“えっ…もう7.5kg以上は掛っていますが…。”
と思いつつやっぱりドラグノブを大きく締め込む。
相手にとって不足はない。
一騎打ち好きにはたまらない。
ロッドはトラベルBG-73GLなのだが、テスト時では15kg負荷まで絞り切っても折れないのを確認しているので性能的には特に問題はないのだが。
どちらかと言えば問題なのは、こちら側のおっさんの体力が一番の問題である。
また、このリール正直信頼性は全くなかったのであるがスペック上はドラグ30kgまでなんて記載されているので検証も兼ねて使っている。
ドラグテンションは、恐らく10kg以上を既に超えていると思うが更にスプールは逆転をして糸は出て行く。
キャプテンバチョは上手く魚の方向と潮の流れを計算しながらボートを廻してくれている様子で少し安心しようとしたが・・・・・・・。
「あのぅ・・・浅いから気を付けて・・・。」
“えっ・・もう相当締めているのだが・・・・”
そこは8本撚りの強力PEラインのなせる技。
わずか6号程度の太さで36kgも直強度があるのである。
躊躇する余裕はないのであっさりと増し締めをした。
ドラグは更に2~3kgは上がったと思われた。
キャプテンは、上手くボートを操船しながらGTの方向をうかがいつつも水深のより深い方向にゆっくりと操船する。
流れと魚の引きとボートの操船によってチリチリとドラグクリック音をだしながら糸は少しずつ出ては行くが、ドラグを締め込んだ事もあるのだが、魚の最初の突っ込みを交わし切れたようだった。
何度かポインピングでゆっくりとロッドを起こしてゆくと少しずつリールインできるようになってきた。
ラインの角度はだんだんと鋭角の方向に進むようになり、浪人者は船の下に来るようになりつつあった。
この魚は、初日の1本目よりも終盤戦がかなり早かった。
いやそれが通常の浪人様とのファイトパターンと思うのだが。
(そうそう40分も掛っては堪らないが)
5分が過ぎた頃になると、魚はボート下に来るようになった。
そして時々クンクンと首を振る感触と共に、曲がった竿がさらにお辞儀をする。
GTの特徴は、別名ヒラアジなどという一種独特の体高をした体型のアジなのである。
激流の中、下に突っ込むロウニアジ。
ハンドランディングの瞬間。
ST-66#4/0フックががっちりと顎に掛かっている。
下から突き上げるように出てきたGTがはっきりと偏光越しには見えた。
その特徴が、ロッドに伝わるパワーに大きく貢献しているように感じる。
何せあの体が横になって水流の抵抗を受けながら上がってくるのだから。
魚の運動量も限界であるが、私も既に無酸素運動は限界。
ゆっくりと息を吐きながらリフトしては、糸を少しずつ回収してリーリング。
間合いを詰めて行く。
そこに相手への隙は与えない。
水鏡の中に光。
太陽からの日差しは強く。
長いグアニン色に輝く。






