楽園の終焉Ⅲ-後半34 ― 2022年02月08日 17:43
奥より2010年当時のSARAGOSA、2013年当時のSARAGOSA20000
そして最新鋭2020型SARAGOSA20000
ボートは、潮の流れに乗るとくるくる回るのでそこはバチョが上手く後進を掛けながら下がってくれる。勢い良くドラグが出るのが止まると今度は首を振って抵抗するが、トラベルBG73(竿)は良く追従してくれている。時々チッチとクリッカーが鳴くが、竿のタメとバネで一息に糸を出す事が無くなって来た。竿はもちろんのこと、リールの性能に不安はない。
Capt.は、良くアングラーとその糸の出ている方向を確認している。舳先の利点は、魚が左右のどちらに回っても船を交わす事が出来る事である。
渾身のやり取り5分が経過したころ、このレンジ(泳層)が嫌いなのか、頑張って抵抗する。
再び糸が出る。
竿はバットまで曲がり切るが、そこでバランスを崩さない様に踏ん張る。
おっさんは、頑張る。
駄目親父と言われても。
伸されファイトはしない。(つもり)
ロウニンアジは、ボート下に来てから(ボート水面下)が辛い。それは、他の魚も同じであるが、短期決戦型のこいつは、アタックから攻撃後半6~7割型がとりわけ辛いと感じる。逆に最後の2割は、よほどの事か失敗の無い限りキャッチに繋がる確立はかなりのものである。
一回ポンプアップしてリールハンドルを2回程巻くと、その分をまた、元の位置に戻ろうと奴がもがく。その分また回収するという作業の繰り返しが続くようになってくると後半戦となる。
少し上げる(浮かせる)と戻ろう(潜ろう)とする感覚は、拮抗状態と認識して良いが、ここは丁度辛くなるところと楽になるところのターニングポイントでもある。しかし、いつもこの拮抗状態は、嫌なものである。それから、ゆっくりとボートは下がりながら(後進)のやり取りであるが、
それでもゆっくりショートポンピングでリールインして行くと、少しずつ着実に浮いて来る。
首はいやいやするように振る感覚が手元まで伝わってくるものの確実に糸を引きだすよりも浮かせる方に傾いているのだった。
辛いところは、奴も同じだろう、きっと。
それからしばらくすると、偏向レンズ越しに光る魚体が見えてきた。梅雨(バイウ)を横からがっぷりと咥えた奴が・・・・。
浮いてくる。
この針掛かりの位置は、どちらかと言うと良い方であった。このフッキング位置のことも更にこちら側には有利となって、ものの10分くらいで浮いてくるのがみえる。(と言っても全力ファイトではあるが)
潮の流れは、相変わらず早く、波もぶつかり合う中、それでも辛いものは辛いのである。波がせり上がってボートが浮く時は、竿の曲がりを活かして溜めて、下がる時は、そのしなりでいなす。
そして、魚の引きが緩まれば、即ポンピングに移る。
竿先が目線より上に来た適所で、ロッドを下げながらリールを回収。
この時は、ラインを緩めないのが鉄則。(弛みを作らない)
これが出来ない人が案外と多いと聞いたが、最近乗り合船に乗る事は殆ど無くなってしまったのもあるし、乗り合っても、ウインチか電動の方が多い釣りが多いので、それが出来ないと言う人は、あまり見た事がない。話を聞かされるだけであるが、ポンピングで魚が浮いてこないと言うのは、その理屈が解っていないと言う事になるのだろう。中には、ポンピングするとバレるので禁止と言う船長までいるらしい。それはびっくりである。
勿論、その必要がなくても上がってくる魚が対象なら特には問題ないのかも知れないが。そして釣方もどんどんと変わって行くが、基本は、のべ竿の延長と取られれば理解は容易だろう。
「あっ、みえました。」(浮きました)
そうCapt.が状況解説風にぽっそりと言う。
そいつは、真っ白な丸い腹を浮かせてのらりくらり状態で水面に浮いた。
「でっぷり!・・何食ってんだろこいつ・・」
専務が、素直な感想を告げる。
揚がって来たのは、でっぷりとした砲弾型に近いボディであった。
彼は、急流で育つ特徴なのか、横長で丸っこく尾柄部は丸々と筋肉の塊。問題なしのアスリート体型の32kgは上出来であった。
がっぷりとUZU梅雨ブギィD13を咥えるロウニンアジ
※カットしました。
前せり出し/人間は引いての指示はない魚眼レンズもない、誇張もない
それは絵にならないと言われればそうかもしれない
でも記録としての魚拓もできない
ならそのままありのままでもいいではないか
クルーが人工呼吸を3,4回程行った後、暫くして深みに帰って行った。
致命傷を負った気配もなさそうである。
潮の流れと当時に時の流れは、変わっていた事に我々は、最後の望み(時合)をこの海と神に託すのであった。
その35へとつづく
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