謹賀新年 ― 2022年01月02日 11:25
楽園の終焉Ⅲ-後編31 ― 2022年01月07日 10:37
その日の夜は、昨日釣ったN様のカンパチフルコースにした。
現地のお勧めで向かったそのお店とはいかに……。
国内でも遠征となると、なかなか大変なその後の段取りなのであるが、まさか海外遠征で血抜き〆から冷やす、即日プロのお店へ持参と言う考えられないコースをやってのけると言うではないか。難関をなんとかクリア―したのである。ここはフィッシュナビさんのお陰であるが、何度も打ち合わせして良かったとつくづく思った。感謝に絶えなかった。ただの一文では済まされない、段取りと労力と行動が要求される物凄くハードルの高いことなのは、行った本人達なら誰でも理解できるところである。その苦労は、裏方さんにしか解らないことなのかもしれない。ただ感謝するしかなかったが、もちろん主役の獲物なしでは、すべて実現しないのである。
この準備の部分でのストーリーをあげれば、かなりの量になるので敢えて省略する事にした
開高健文豪ならそれを至極のストーリーで書き上げただろうと容易に考えられる
そう思うと、その文豪が短命でお亡くなりになったのがとても残念でならないが人死んで名を残すのは、容易ではない
※画像カット
不安と期待に待つ私と専務の二人
どちらかというと不安の方が勝っていたが
そのお店の名前は、“ドンドン”(丼呑?➔丼丼)と言う。最初は、どんどん行けのドンドンかと思い、店名こそ怪しい名前(すみませんDONG DONGさん)だなって思ったのだが、その銘々とは裏腹に店長は、料理の腕が大変良かった。この店の創作と言う名の和食の融合さえも、海外で生き抜くためには必要なことが重々承知の上だと理解した。店長兼板長は、特段の腕を奮ってくださった。聞けば、ちゃんとした修行をした方らしい。カンパチの胃袋もちゃんと使って料理されていた。肝も処理されて、旨味を引き出す事にも長けておられた。
海外で良い日本料理に出会う事がそう多くないと言うことを、多くの海外旅行を経験した日本人が知るところであるが、インドネシアでもそれは多分にある。どうせなら現地の料理を食した方が良いのは、容易に理解できるところである。誠に感謝の晩餐であったのは、全会一致であった。
カンパチの懐石コース
カンパチコースその2
目前のコースをよそに、何人かの外国人と日本人が何組か来たが、どうみても我々だけ異常なほど料理が並べられていた。もうこれ以上は口に運べませんという程の質と量に満足した。もう結構ですと告げてから、最後にマスターに聞いてみた。海外で日本食を出すと、味が薄いとか無いとか言われ、濃い味付けを意識しないと満足されない。
また、本来は多用しないマヨネーズを多めに使うことや、ワサビも多めに使うとのこと、照りも少し濃いめに使うなど、海外で商売をしていくということは、伝統的な完全日本食とまでは行かないようだった。もちろん、言語と同じように料理も時代と共に変化するのでそれは必然なのかもしれないと思った。海外で生き残るのは、日本人としての誇りは持ちつつ、ある程度のその場所と融合して行くのは同じく必然らしい。
チーム全員感謝して店を出た。
そのような満腹状態の上に、最後に良い夢が見られれば良いのだが・・・・。
果たしてそれはいかに・・・・。
ドンドンは漢字だと丼丼というらしい
コロナ禍にあっても2022年現在も健在されているようで現地在住日本人の中でも人気らしい
それでもあっと言う間にまた朝が来たのであった。
いよいよ、最終日である。
‟最終日かぁ“それは、本当に最後の日なのだ。たかが釣り風情なのだが。
楽園の終焉Ⅲ-後半32 ― 2022年01月12日 09:17
-ファイナル-最終日-
もはや、シンキングルアーと言う存在は、GTと言うジャンルでも無視はできない存在なのかもしれない
更には、カウントダウンミノー的アプローチも出てきたのである。これを使用してもう数年が過ぎ去ったが、その版図は拡がりつつあるらしい
※画像カットしました。
それでも我々にはまた、朝が来た。
朝食の流れは、既にその1で記載したように、最終日も同じ事ではあった。無論、珈琲をしつこく飲めたのも私だけだった。どうやら、我々日本人には、どうも脂っこいらしい。いつも早い時間の朝食なので何とも言えないが、宿泊客のオージー達にはなんのこともないらしい。でも彼らでも胃もたれってあるとは思う。※楽園の終焉シリーズⅠより順にご参照ください。
最終日の船に乗り込むと、今まで何度も改善不能と言われてきたソフトドリンク対策は、大塚製薬の工場がインドネシアにも出来たのか、他の飲料と価格がそう変わり無く供給できるようになったことはこれ幸いであった。大塚製薬のこの元祖スポドリは、合成甘味料が入っていないことが私には大変助かった。どうも合成甘味料と私の胃腸は相性が物凄く悪い。合成甘味料主体のスポドリでは過去酷い目に合わされている。
ストレッチも早々に行うが、5日目となるとあちこち体が痛い箇所ばかりである。今までも大体のスケジュールは、5日間の釣りばかりでこれが当たり前のように感じてしまう自分が怖くなるが、フィッシュナビの担当者の話によれば、それはもう過激度トップクラスと言う事らしかった。どうやら過激ツアー万歳派は、どうやら誠に少ないらしい。
どうせ行くならば、良い潮周りを押えての5日間にも関わらず、海は水もの、予測付かないのはいつものこと。ましてや1日のみ勝負となるとそれは、かなり厳しい。少なくとも3日は、チャーターしてそのうち1日が良ければ(当たれば)良いと言う感覚で挑んで頂ければ幸いである。勿論3日押えたからと言って必ずしも良い結果がでるとは限らない事は、周知の事実ではあるが、それでも納得いかない釣り人が存在すると言うことらしい。更にクレームを言う輩が多少なりともいるらしい。それは、それで全く理解不能と思っても致し方ないところである。
さてさて何故冒頭からそのような話になったかと言うと、それは今回も後半は何とか離れ技で1本はキャッチしたけれど、TOPオンリーで勝負していたら今頃は、おでこ=ボーズだったところだったに違いないと思ったからである。最終日だからドラマを!と切願するものの、気合いとは裏腹にこれまたアタリは全くなかった。それで、昨日の状況からストライクプロを早速投入するものの、それでもアタリは全くでなかった。それは、潮が動き始めてもそれは、変わらなかった。
主力ポイント周辺をあの有名なボートが入れ替わり入ってくる。最近はねっからこのボートが人気らしい。栄枯盛衰を感じるし、今は弱体の一途をたどる国内GTゲームをよそに、インドネシアは熱い。そればかりか他のアジア圏、ユーロ圏もGT熱は世界を駆け巡っているらしい。これは、結果的に日本人が世界に広めた釣りになる。その日本人アングラーも、ロウニンアジをGTと言って理解できるようになったのが90年代半ば以降であろうか。その昔GTといったら車か?と言われたことがあった。それはミスターGTとも言われている私の師匠の功績だが、それを踏み台くらいにしか考えていない後輩達には呆れかえるが、それが業界の弱肉強食理論なのかもしれない・・・かもしくは単純にそれはうやむやにされているだけなのだろうか。
全くもってこのボートが、目障りとはこの事なのだが、相手にとっても、それはお互いの事である。問題は、何が?かと言うと、少しの隙間が空けばそこに横入れしようとするからで、これには少しプレッシャーを感じるので致し方ないところであった。Capt.に聞いてみるとお手上げということらしい。どこでも優劣という暗黙の了解やしがらみがあるらしい。ここも強いものが優先する理論は変わらない。簡単にいうと、ジャイアンということになろう。ここで専務が秘密兵器・・・・と言う事でもないが、ここ1~2年の間に浮上してきた、ベベルジャークと言う商品を引っ張り出す。これがある程度、貢献したのかどうなのか、元祖な釣り方ではないものの、GTと言うルアーキャスティングの線の釣りを、面の釣りにしたと言う事は、90年代では信じられない事かもしれない。このベベルと言う疑似餌は、オリジナルのマグナムミノーにウエイトをぶち込んでプラス90gのウエイトを稼いだものである。コストをそうかけずに商品化するパターンとしては、昨今多用されるパターンではあるが、それでもバランスはとらなくてはならないのでただ錘を入れれば良いと言う訳でもないのが難しい所だろう。
将軍様の方を見ると、彼もその横で見ていたが、彼はベベルを持参していなかった。私も見学としてそれを観る事にしたが、彼のルアーは、軽く投げるだけで飛んで行った。それから専務は、複雑に入れ込む流れに乗せてラインを送りこんで行くのだった。カウントダウン60秒くらい待つとそれは、底近くに到達するらしい。それから、ジャークをしながら巻き取ると言う基本トップと同じ竿捌きに近い動作を繰り返した。表層のそれとは違い、アタリを竿ですべて取る事になる。
それから様子を見ているとまさかの・・・その竿先が入ったと思うと、それはすぐにバットまで曲がりグン、グン、グン、と三段引きのように曲がった。その反動が専務の体軸までズンズンと揺れた感じがした。それからすぐに勢い良く直ぐにラインが出て言ったのである。
「よしキタ~!」
そのPEラインを良く見ると、そのカラ―が変わって行くが、前へ前へと海の中にラインが引きずられている感じに見てとれた。(ラインは10m毎に染色が5色にしてあるタイプ)
なんと、このパターンでも専務は喰わせることに成功したのだ。
そして、我々は、彼が合わせを入れたのを確認した。
糸は出て行くが、一旦止まると直ぐにライン回収に入る専務。そこの間合いの詰め方は、熟知しているようである。
リールの鳴きバネが鳴り、ジージージーと道糸が出ていくのだった・・・・・・・・(平凡で退屈な表現ですみませんこれじゃ小学校の作文ですね)
即ポンピング・・一回目。
2回目・・。
また糸が出て・・。
3回目・・・・・・。
4回目・・。
気合いをいれてポンピング&リーリング作業に勤しむ専務ことI氏
‟おおおっ・・・やった!”
だが・・・・喜びもつかの間だった。
竿のテンションが無くなり、明らかにその先の生命感が無くなっていた。
またまたまた、バレテしまった。
がっくりと首を落とす専務。その後ろ斜め下を目線に移して、片手を腰に当てるポーズは、反省のポーズにはうってつけではあるが何とも寂しい光景に見える。(かなりがっかりなようすだった)
魚はいる。
確かに居る。
そして、その疑似餌を襲い、喰って来たではないか。
どうなのか。
期待するのか。
バイトはまたあるのか。
それでも投げ続けるしか方法はない。
幾ら高性能に作られても疑似餌は、動かさなくては全く意味がないのである。
楽園の終焉Ⅲ-後半33 ― 2022年01月26日 14:46
楽園の終焉Ⅰ2010年時は、そこまではメジャーではなかったが
2013年当時となると既にその手の釣ではメジャーになりつつあった
嘗て誰も見向きもしなかった頃、友人が〝ただの大きいミノー″と使っていた頃と比べると、今や(2022)どこでも誰でも容易に買えるものになったが、このStrike pro Magnum minnowが台頭するようになると、他社もそれに追従するかのように対大型用のビックプラグが出てくるようになった
商売というのは弱肉強食である
そこで改めてここはと、タックルボックスを見てみる。
セレクトし直しである。
‟これしかないかなぁ”
その、ブルーの1本しかない、リップレスバイブレーション形状の疑似餌を取りだし、プライヤーでその接続部分であるスプリットリングを開きそのルアーの先菅(アイ)を入れ込むのだった。
セット完了。
キャストに移行する。
‟さあ、出番だ、頑張ってくれよ!“
その激流の中へ、投入する。
フリーフォールはさせず、即リールベイルを戻すとテンションフォールに移行する。それをクロスアップリームキャストから流れを横切らせながら、ジャークさせる。クロスから流れの中央付近でターン姿勢になると、竿を少し立て気味にしながら、ラインを流れに噛まない様に、できるだけ水から上げ、ラインが流されないように調整しながら逆引きに近い状態に持って行くのがこの引き方の鍵となる。
そこで 、このルアーの名前でもあるUZUの梅雨ブギィは、トカラ列島のあの堤防パターンを主力として製作されたのは言うまでもないが、本来の使い方は、フォールにあるらしい。と言うことで考えると、この使い方が正しいかどうかと言うには、どちらかというとアウトサイドに入ると思う。そこは、クリエイティブと言うよりも、臨機応変と言う言葉が正しいのかもしれないが、ルアーは、その対象が釣れる事でその本命を全うすると考えるとするならば、それはそれで有りなのである。無論ヒットに持ち込めればの話ではであるが。
竿先から伝わる情報は、明らかにルアーが水にちゃんと噛んで動いている事を表している感じである。その情報からは、バランスが崩れた様子もないようである。それにしても150gのウエイトを投げ続ける事は、並みではなかったがしかし、ことこのロウニンアジの疑似餌釣りではごくごく当たり前の事なのだ。
「いい、潮になってきた。」
Capt.が将軍様に語る。
益々やる気をだそうではないか。
3人でしつこく、かつ、しっかりとテンポよく流して行くが、数投しても追加のアタリはない。そしてそれから、キャストを繰り返すと更に1時間くらいが過ぎ去って行った。
本日も決して状況は良いとは言えない。
しかし、我々には時がないのである。
それが、遠征という宿命である。
梅雨ブギィ150gが海原に飛ばされていく。
直ぐに沈んで行く。
ラインスラッグ(糸ふけ)を取る。
ラインが水に浸かる部分はできるだけ少なく。
ジャーク&ジャーク(しゃくりそしてしゃくり)
竿先が丁度目線に来た時、グンと竿元まで伝わる手ごたえがあった。
ズン、ズンと重く強い引き。竿元まで引き込まれていくのだった。
その合わせは、強力かつバットパワー(根元に近い部分)で縦のスライドフッキングをする。これは、非常に需要である合わせになると思う。
間違いなく奴の引きだった。
無言になってやり取りに集中していると、N様がカメラを回して近づいてくる。
フィッシュ・オン!(開口文学風)
舳にて大勢を整え、戦いに挑む
ゴンゴンゴンと手元まで伝わる重量感。そして首振りの大きさからある程度の型なのが解った。
7kg強に設定したドラグから逆転が直ぐに始まった。ここで焦りは禁物である。
‟ちょっと頑張るなぁこいつ・・・”
当たり前といえば当たり前だが、直ぐには巻けなかった。
そいつは、流れに乗って、首を振ってはまた少し、また少しとじりじりと糸を出して行った。まさに、パラフルでストロングという表現がぴったりである。愛機トラベル73SG-3pcsロッドは、その曲がりでしっかりと耐えてくれている。その合間の隙は、間髪いれずライン回収に入る。ここは、隙あれば糸間合いは直ぐに詰めるのが根に行こうとする魚へのアプローチの鉄則であるかと思う。
今回リールは、今回SHIMANOのSARAGOSA20000を投入した
満を期しての新型である(2013年当時)
2010年当時のSARAGOSA14000F
当時SHIMANOの最新鋭だったSARAGOSAも以降世代交代を2世代している
当時、誰もこれでGTなんて考えていなかったがGTでも全く問題なく使用できたが、当時これを日本でGTに使っている人は私の知る限りいない
14000Fと18000Fは、互換性があり所有していれば直ぐに対応できた
当時のSHIMANOあたりから、国際市場における独走の勢いがあったように思える
※楽園の終焉Ⅱ2011番外編参照