南方回帰Ⅴ-影と闇-微残光2015-52025年06月11日 12:35

 関東もいよいよ梅雨入りとなりました。しばらく蒸し暑い日が続くことでしょう。
今年もでしょうけれど、猛暑な夏になりそうです。しばらくまたまた空いてしまいましたがやっと更新できます。話が良く解らない方はその1から読み直して頂くと幸いです。
マゴチ1
そこの鼻息の荒い方々、たまにはライトタックルで余暇は過ごしては如何でしょう。その先の大物を目指している時は他の小物たちがなんとも眼中に入ることもなく、桁の違うサイズを上げるに必死なのは理解できます。かつての私がそうであったようです。
 その昔で言うところの武功を上げる・・・に近いのでしょうか。
かと言って手段を択ばずとなると、今も昔も武功とはいえないのかも・・・・しれませんね。
マゴチ2
それでは、お待ちかねのその6です。(特に待ってなどいないか・・)

-猛禽類と言う名のリール-
AVET HX RAPTOR

avethxraptorred

このリールと付き合って早5年近く過ぎた

ブランドと付き合って12年以上(2003年から)が経つ
だれも知らなかっ


たあの時から・・・


初期型JX


初期型AVET JX Shark designは、あまり知られていない
恐らく、日本国内で最初に使ったのは間違いなく私がその一人に入ると思うが、その証明を出来る証明は残念ながらできない
我が国の高性能リールよ!今こそ大和魂を見せて欲しい

SX&HX

2005年頃のAVET SX2010年時のHX RAPTOR


 この会社のリールを始めて観たのが2002年の事だった。当時日本には入ってはいなかった頃の事である。その頃は、まだフラットデザインサイドプレートに、シャークの絵がエングローブされていた。当時は、そのリールが特段すばらしいとも思わなかったが、その時聞いた価格に少し感心した。そのコストパフォーマンスには大変優れていたように思えた。いや驚いた。
 「なにか、気になる点は?」と聞かれたので、

「個人的にはシャークは嫌いではない。またこの手の釣りがこの国(米国)でポピュラーなのは良く知っている。」
「だが、日本でこのリールを売るとするならば、このシャークのデザインは受け入れ難いものになるだろう。」
「なぜなら日本ではシャークは釣の対象とする人は大変少ないからだ。」
「むしろ、シャークは迷惑くらいに思っている釣人の方が圧倒的に多いと思う。」

そう言うと、彼は驚きを隠せない表情で

「それは、本当か?」

「日本人は、シャークが釣の対象としてはマイナーなのか?」

と聞いてきた。彼は、そのことがにわかには信じられない様子だった。
価値観の違いと言うのは、国によって大きく異なるのだ。それは、その国の主義、思想に大きく反映すると思う。アメリカの釣人は、サメを立派なゲームフィッシュとして認識している。また、その種類によっては食用とされる。寧ろ我々日本の釣人が少数派なのかもしれない。
 サメは、我々日本人が太古の昔より漁の対象として捕獲、利用されて来た。そしてかつてほどではないものの現在も利用されているが不人気なのは謎である。日頃の釣人の言動からみて感じとれる部分は多々ある。恐らくではあるが獲物をかっさらう、また仕掛けを切るというミートフィッシャーマンにとっては厄介極まりない存在でもあったりするのかとも思う。一方で水族館の人気物であったりする。

旧JX

2002年当時のAVET JX Single Speed Shark

所謂初期型でとても面白いリールだと思った(2002年当時)


さてさて、そのRAPTORが発売になるとすぐに購入した。今までのノーマルデザインは、比較的スムーズにそのドラグは効いていた。滑り出しも悪くないナイロンラインとの相性もばっちりではあったがことどんどん細くかつ強力になっているブレイデッドラインに合わせる必要がでてきたのだろう。その強化ドラグとマグネットブレーキ搭載の2スピードリールは未だ日本のメーカーでは見たことがない。バリューも申し分のない。これは凄いなと思った。技術的には、日本の大手2社ならそう労せずしても難なくこなすレベルであるが、それが生産される事も、販売される事も2015年の冬の時点では無い。勝手に思えば、2016年のそれもないであろう。発売されるとすれば、海外市場が先で後に日本へ入ってくるパターンだろう。
 日本の釣具メーカーも冬の時代なのか、勢いは全く感じられなかった。また、そちらの方向に開発される予定もなさそうだった。その方向は、電動モーターの威力向上とコンパクト化にあるように思える。持ち運びも、どんどんリチウム化されたコンパクトな電池になっていった。

 さて今回も愛用のRAPTORをメイン機で使用したのだが、どうもドラグの調子が良くない感じである。その原因は・・・思い当たる節が大いにあった。それは・・・・。
今年の駿河湾での出来事だった。

 さっぱり釣れないサットウとバラムツに身内俗称“魔の瀬”でトライすることになった。この瀬は、実に怪しい瀬である。
過去に何度も脅威のロングファイトを強いられた場所。脅威の瀬である。それは正に怪魚のレベルと言うよりテラーである。
 その正体を知りたくて何度もトライしたが、一度だけ知人が4時間半のファイトの末に浮かせた事がある。船の半分以上あるその巨大魚は、恐らくカグラザメである。その魚体は今でも忘れる事ができない。
肩幅以上の頭部とその大きな鰭。
特徴のある尾鰭は、正に生きた化石だった。
 3mどころではない4mも完全超えの更に長かった。それは5mだったのかどうかもうびっくりのサイズだった。その当時の視覚イメージは、5m6mの 超大型軟骨魚類の感じだった。その独特のフォルムは、古代を思わせる闇と船の灯りに浮かで蠢く海竜にさえ思えたのだ。みんなで思わず後ずさりする程の脅威を感じた。

2002年頃の初期型AVETは、鮫のエングローブだったが特別リールには見えなかったが、今はRAPTOR2段変速リールである。

そいつが浮いて皆の驚きの様子だが、親父さん(船長)は全く怯まなかった。

「おおお!これは釣って東海大学に持って行くぞ!!」

とのお言葉に思わず我々は頑張ってしまった。つまり是が非でも揚げるということなのだ。親父さんは、それが学術的に価値のあるものであることが即理解できたのである。もちろん我々も。

 誠に遺憾な事ではあるが、私の母校にその受け入れ先は見いだせなかった。
東海大ならそれが可能との事と言う事だったが、肝心の奴は一度水面まで姿を現すとゆっくりと船に近づいて来た。と思うと、また深海へと潜っていった。
恐るべき体力である。一気に数十メートル引き出された。

正に怪魚ならぬ、怪物である。

それならと今度は親父さんが、船のローラー巻き付け作戦を5時間経過近くなって行う事になった。10m位ローラーで巻きつけると滑り気味になり、更にテンションを上げて巻くとあのPE独特のブツリ・・と言う感覚と共にそれは、一気に軽くなった。
 リーダーから切れていた。
リーダーはサメ肌で何度も擦られたか、ズタボロだった。

そんな過去が何度もあった場所。その格闘劇は何度も何度もあった。
そう、恐怖の瀬。それは恐らく、TVバラエティネタとしては、マックスであろうが当然そのようなアプローチはこちらではしたことは無い。ましてや、怪魚マニアでもない。

その後、証拠の撮影したビデオはそのテープカビてしまい。処分に至り証拠画像も恐らくない。アナログ写真があるかもしれないが、その後探しきれていない。

 そんな恐怖の場所で同じくまたまた変なアタリ。
最初は、コツコツと触るようなアタリがあった。
少し聞き合わせると根掛かりのように重い。彼らのアタリは何時もそうだ。
それでも竿をベンドマックスまで曲げて、ゆっくりとリフトアップすると、首を大きく振るような引きがあり、更に無理に剥がそうとすると、そいつは急に走り出した。

“もしかして・・・・ああ奴かも・・・・。”

そう思っていると親父さんが

「ごりゃあ、特大のイシナギだぁ~!」

と申されるのでは、取りあえず一生懸命ファイトするしかない。

 そう決め込み、10分、20分、30分と汗を流しながらファイトする。
魚は、すぐ下の110mラインまで寄せて更に浮かせて7080mラインまで上げてくるとまた走りだす。
それを何度か繰り返す。
ドラグテンションを上げても同じ事だった。

イシナギ


2013年に筆者が揚げたイシナギ
即〆したため血痕が生々しい
※儚き偶像の行方参照
https://tukinoturisi.asablo.jp/blog/2019/02/21/9039006

“奴だ、奴に違いない・・・”

特大のイシナギから、皆奴を確信しつつあった。

 なんとか60分ほどやり取りしたが、全くあと70m以上は浮いてこないのでカグラ君と確信して、ラインカットと思ったが、寒い中皆さんが見てくれていたのでそれぞれ体験してもらう事になった。どうせならドラグを20㎏近くまで上げて、竿を寝かして折れないようにした。これを今流行?のスロージグファイトと称してリールの並行移動の距離分を巻きとることにしてみた。上半身だけでは到底無理なので、フットポンピングでリールインして行った。いままで根掛かりしかやった事がないこのやり方でのファイトは初めてだったが、この竿なしのIGFA失格のファールファイトでなら綱引き出来た。そのテンションでリールが壊れない事に関心を示したのは、SUG氏であった。
 どうせラインカットならと試してみたが、これがぐんぐん寄せられた。
“これなら、浮かせられるかも”

 体験学習の為にとSUG氏にも竿を御貸しすると・・・彼の恐ろしい、逆の意味でテラーなファイトが始まった。
 リールテロリスト、あばれる君などといわれながらも壊れんばかりのリール操作に一同驚愕したが、さすがテロリスト、いやあばれるくん。まったく、動じなかった。しかも、彼は並行してあらんかぎりの力でハンドルを回そうとしているではないか。正に彼も脅威である。

“ちょっと待って、リールが壊れるから、もう交代!”

それから何分かしてまた私に交代して切るつもりでリフトした。
恐ろしい事に90分以上経つと、やつは少しまた浮いてきた。

あと30m
良く浮いて来た。
これをあと2時間くらいやれば浮いてくるかも?そう思ったが、時間の無駄にも思えた。

決定的な事は、あとその30mと言うところで船の下に張り付いたようにうごかない。
 ドラグをfullまでレバーを上げたが、動かない。

やはり怪物である。

「カットするよ~!」

親父さんの反対も無かったのでそこでカットした。

新品の8本撚りPEラインをあっさりとカットすると、何事も無かったように帰りしたくを始めた。

 帰宅後、分解をしようと思いながらも、潮抜き程度の軽いメンテをしただけだった。

その数カ月後、そのまま伊豆でイシナギに使った。それから更に帰宅後、ハンドル周りのガタもないので分解する事もなく、今回の現場に至ったのである。どうも低いテンションの具合が悪い感じだった。レバーとブレーキが相対してのドラグ力が上がる仕組みなのだが、どうも今の私のリールの状態は、ブレーキプレートとの接触する部分の、コンタクトレンジがとても狭い感じだった。

これにもっと気がついていれば・・・なんて言い訳である。

何れにしてもこれは整備不良と言われても文句の言いようが無いし、体調不良も己の自己管理不良と言う事になる。

言い訳はできない。

結果が全てを表していた。

月竿とアベット1


歴戦の勇士達のその後202411月撮影



敗北後

話を再び元のイソンボに戻す。

すっかり、巻き取った糸のバッキングが心細い状態になったRAPTORを竿から取り外し後方へ移動させて、バッグに仕舞い入れた。

 さあ、気を取り直すと言うよりも、今の己の現実は、己と魚との勝負と言うよりもチームワークで勝利させる事ではなかろうか?
そう思ったりした。

早速監督の指令と激が飛ぶ。

「だから気を抜くなと行ったんだよ~!」

「なにやってんだよ~!」

真にごもっともでした。

日頃、私が皆さんに申している通りだし、昨年はそれで散々専務イジメしましたからねぇ。
猛反省。

「さぁさぁ~まだまだ来るよ~!気を抜くなよ~!」
更に監督から激が飛ぶ。

あとの2人に頑張ってもらうしかないと思った。

 俄然やる気にった、JUNSYUの二人。
気合い十分といったところだった。

まったく私が気を取り直してなどと言う間もなく、彼ら2人が早速投入したので暫し監督と共に様子を見る事にした。こんな状況の私では、20㎏以下でも獲り込めるまでに至らないであろう。しかしながら、このテニス肘とやらは一旦痛めるとなかなか回復に至らない。真に厄介なものでかつ生活にまで影響を及ぼす。釣人にとっても本当に厄介な慢性的持病である。左右共その症状とはもはや場末である。

月竿とアベット


AVET各種と上から新型1403-UM5-6XP
1363-UM7p
今回主役の旧1363-UM9p
1363-UM7p AK-SP

 

新旧揃えて


2000年作成のCT601-30SU-CUSTOM2002年製JX、ナイロン神海30Lbのコンビでビンナガ(ビンチョウ)を上げた

22㎏程度だった



その6(静寂の中の興奮)へとつづく