南方回帰Ⅳ-影と闇と残光2014-12 ― 2023年02月03日 20:55
ワイロンという存在
大洋ワイロン(アルティフレックス)
The
Wylon “Ulti-Flex”stainless Wire leader
material-the ultimate in flexibility and strength
各種釣・漁具用品及び装飾用ワイヤー
並びに関連材料卸
長谷川勝美氏本人による製作仕掛けと直筆メモ
各台紙にもその思いが沢山詰まっていた
ワイロンと言えば・・・。
これを考案した故長谷川氏の話は、ちょくちょく出てくるので少し話が重複する部分もあるとは思うのだがそれは、それだけ私がとても感謝していることだと理解頂きたい。私は、長谷川氏の晩年(しかも80過ぎ)しかお会いした事がなかったがとてもすばらしい良い方で、研究熱心な方であった。余程昭和の時代に釣りを研鑽されているようだった。その当時のお話をお聞きすれば、それがとても良く解った。誰でも現役時代はあるし、ピークはあると思う。それがどれだけ長いかはその人次第なのだが、長谷川氏はその枯れた枝のような手ともう裸眼では殆ど見えなくなったその老眼で多くを教えて頂いた。とても感謝に絶えない。面白かった当時のお話しも私の記憶の劣化と共に薄れようとしている。細かいことが忘れてしまってゆくのがとても残念であるが、アメリカのフライフィッシングの一部のSWマニアにも使われていて、アメリカへも輸出しているとのことだった。なるほど、それで英語表記もあるのかと理解した。それ以上フライフィッシングについて聞くことは無かったが、歯物系に使用されていたのもその流れからとても良く理解できる。東海岸であれば、ブルーフィッシュなのかな。フロリダなら、バラクーダやシャークも狙うと思うのでサメ対策も大いに頷ける。ここが我が国と違うところでもある。我が国のフライフィッシングは、完全絶滅はないにしろ、絶滅危惧にまっしぐらな感じだ。それも更にSWともなるともっとそのランクは上がる。今のままでは、先細りもいいところだろう。日本における大手釣具メーカーのその力の入れ具合のなさが市場の衰退を物語っている。
その後、ワイロンと長谷川氏の存在がとても釣りの幅を広げてくれたのだが、それもどうやら今現在は進化する事もあまりなさそうな感じを受けるのは恐らく私だけなのだろうか。
その後、しばらくして会社も譲渡されアイテムは増えるが根底にあるスタンダードなあのワイロンのアイテムは縮小方向にある。特にカラーアイテムの減少については、これも世の中の流れで仕方のないことであるし、現オーナーの考え方ひとつで決まって行く事なので、そこは干渉の余地はないと認識している。しかしながら、とても残念である。それも無念に近い形で。
ワイロンにはそのカラーが何種かあるが、赤でも黒でもそうこの本題でもある釣りに関しては、大差がないみたいである。また、バラムツやアブラソコムツにもこのワイロンがかなり有効である。もちろんこれに関しては、職漁時代は、ステンワイヤーで行われていたので、被膜が無くてもいいらしい。筆者は、過去300匹いやそれ以上釣ってみたけれど、そのカラーによっての釣果の差は見られず、赤でも黒でも海藻と言われる緑でもカスミと呼ばれるシルバーでも釣果にその差はあまりみられなかった。しかしながら、旧ワイロン台紙にはそのカラーにはその意味がそれぞれあるらしい。また、ロウニンアジの泳がせについて質問した時は、霞がいいとお話しされていたのを思い出す。それは、長谷川氏が実証したと思われるが、当方にはそれを比較したデーターを取るまでに至っていない。
その他、長谷川氏が考案したワイロンリグは、多く存在していたけれどどれも絶滅の方向に限りなく近づいているのがとても残念である。今思えば、もう少しお元気な頃に、ベンダーズ製品とりわけワイロンの使い方及び仕掛け集でも執筆してもらえば良かったといつも思う。今やその氏のデザインした台紙さえ、全く違うものになっていたのはとても寂しかった。またひとつ、小さな現実が変わってしまった。それも時の流れであると思う。所詮趣味とか娯楽と言われるものの多くはそうなるのだろう。
今でも、長谷川氏がその時語ったことが昨晩のようであり、後継者が先に死んでしまったんですよまだ若かったんですがね。という何ともか細くも無念ながら語ったことが忘れられない。
時代は、流れて行くものでその多くは継承すらされない。それは、砂漠の足跡に似ているのかもしれない。