STRAGAZER14-1 ― 2024年07月02日 11:12
STARGAZER14-2 ― 2024年07月06日 20:10
国産素材
国産という名の誇り
磯竿の進化と月竿化
The pride of being made in Japan and the evolution of the moon rod
純日本製オリジナル高強度アルミエンドパーツ(試作)
月竿の伝統を引き継いだ国産素材
はじめに
Stargazer14とStargazer Jr.7
蜻蛉切と脇差
遠征という名につきまとう制限。それは、ロッドの携帯化もある程度は必要なことになってきます。特に旅行や遠征に於いてまたは、地磯等でもその装備に一定の制限がある場合はその装備と荷物量のことが重要課題のひとつでした。それは、小型飛行機やヘリを使うとかになればなおさらのことで更に必要に迫られることも多いでしょう。そのような昨今、月竿主力でもある1403シリーズ3pcs(継竿)の派生亜種を以前から考えてきました。本来ならこれらの計画は、もう一昔前の2009年頃のことになります。当時師匠から、一度遠征振出竿の提案があったモデルです。その当時の案は、ブランク素材がオールグラファイトの5.0m、4pcsという予定で進めていました。また、その当時には主力の1363-UMシリーズ継竿の予備として、その補助竿程度として考えていました。荷物の制限も今現在ほどに厳しいものでもありませんでした。当時はまだ、LCCが全盛期を迎えてはいませんでした。よって当時の私の考え方は、あくまでもサブ機、補助機に過ぎなく、限りなく手頃な価格で提供したいと考えていたのも事実です。国産でしかもリーズナブルな設定それは、当時としても必要であることを感じていました。当時は5万円代とまで絞り込んでのできるだけ実践オンリーのシンプルな作りとまで考えておりました。
それから暫くして、ブランク設計が終わり量産体制にありました。しかしながら適合ガイドの生産未定かつそのバリエーションが無いために延期に延期され実現できませんでした。とても残念だったのは言うまでもありませんでした。いくら良いブランク素材を開発設計したとしても、そのパーツの根幹にあたるガイドが無ければ話になりません。これでは打つ砲台があっても砲弾がないのと同じです。以来、その計画から10年以上の月日が過ぎてしまいました。とても短いようで長いものでした。この10年は、あっという間に過ぎましたがそれでも後になると一人生過ぎたことになります。一人生10年は、とても大きな節目なのはいうまでもありません。下手をすると現役世代を越えて行ってしまいかねません。
それからの時代が、振出という形態のカスタムロッドが一端を担う時代になるとは22年前の2002年独立時には考えてもみませんでした。故に、この類のご要望、要求、ご依頼をお断りしてきました。当時は、そんなことは月竿がやることでもないと思いつつも折角のご依頼に対して申し訳ない気がしました。そんなもやもやした感を残したまま、時折その構想や思いは頭の片隅を刺激するものです。今になって思うと当時から磯の振出をやってくれないかというユーザーさんがいらっしゃったことは私にも以外なことでした。わからないものです。
その間にも、かつての昭和から平成の全盛期をよそに磯関連は市場が激減し、釣り業界も多くが倒産に追い込まれました。メーカー名を上げると懐かしいブランドや思い出がいっぱいです。しかも、国産自社生産メーカーばかりでした。既に淘汰と大陸への生産移動が加速し始めていた頃かと思います。そしてその大陸も転換点を迎えています。時代は、刻々と流れて行くようです。そして今日の常識は明日の非常識なんてこともあり得る時代です。
STARGAZER14-3 ― 2024年07月16日 16:32
旧OLYMPIC
激動の昭和時代に君臨したビックネーム
昭和のビックネームとしては、オリムピック社が挙がると思います。昭和生まれの釣人ですと一度はその名前を聞いたことがあるでしょう。昭和60年代辺りまで釣具店のほぼ大半が扱っていたと思います。この時代はまだまだ小売りと呼ばれ釣具店がメインの頃でした。またこれらの小売店が何処も流行っていた時代です。私も小売店を梯子するのが大変好きでした。それで一日が終わった日もありました。
また、他に昭和の磯竿と言えばNFT社(昭和24年創業)でした。しかし、その名も吸収合併後それはもう跡形もありません。多くの若者はそんな会社があったのかさえ判りませんし、わかりません。そんなことは他にも良くあることです。昭和の終わり頃の50年代にはNFTの振出ルアー竿なんてあったのを記憶しております。
昭和の時代を牽引したNFT
案外中古屋さんと呼ばれるところにはジャンクのコーナー等に存在するが状態の良いものはかなり少ない
それだけハードユーズに耐えてきたのだろう
IM65-SPINING-2P
またNFTに限ったことではないがそのコートの品質は。現在とは比較にならない程低品質であったこともある
また、磯竿が得意と言われた大丸興業(ダイコー)も平成への流れにはついて行けませんでした。当時の国産釣竿メーカーとしては、比較的大きい方でした。時代の流れとは思っていても、それはそれで寂しいものです。これらは、素材から国内製作していた老舗製造元でありました。それらは、いずれももう存在しません。釣竿という名の量産品は、もっぱら海外の人件費のより安いところへとシフトしていきました。まさに激動の時代の切れ端の出来事ではありますが、それでもこの弱小業界に於いてはある程度の衝撃だったに違いありませんでした。
旧オリムピック社トカラファイターⅡ48
調子の違う替え穂先付
富士旧FPS28最大サイズ
その後FPSからDPSへと引き継がれるが28サイズはもう存在していない
量産化は複雑さを排除する傾向にある
1931年創業の旧オリムピック社は、日本で初めて釣用リール発明しました。昭和を代表する大手釣具メーカーだったことは間違いありません。社名変更してその後の2000年釣具事業から完全撤退してからその生産は終わりました。
それは、正に昭和の大横綱の引退でした。
嘗ての最大手も栄枯盛衰である
STARGAZER14-4 ― 2024年07月22日 14:40
基本的志向
製品化への難関は、以降も続きましたがそれでも徐々に先は見えてきました。気がつくと、あっと言う間に更に数年以上が過ぎ去っていました。この間はとても短く感じましたが人生後半の数年は、とても貴重にも思えたりするものです。
それは、釣り人生という更に短い時間の中では貴重に思えます。若者はそれがとても理解し難いことに今更ながら気が付かされます。イケイケドンドンなんて言葉は、人生に於いてそう長い期間に於いてはそうあるものでなないようです。
振出磯竿
Telescopic ISO【Shore/Rocky area】Rod
最初にその対象魚クラスは、青物、底物、イソマグロ、ロウニンアジのマルチパーパスに対応できるもの。つまり、泳がせ、ブッコミ/打ち込みからルアーまでの用途を基本としました。それはスタンダップが基本で、ピトン打ち三点張り等の釣法は月竿の流れからも外すことにしました。(アカメはあえて謡っていませんがもっとも問題のないクラスです)
当初の基準は、月竿のもっとも汎用性の高いレギュラークラス、1403-UM7-8xpS/blend同等もしくは、前後のパワークラスの同じ調子に近いものと考えました。この月竿7-8クラスは、成人男子の平均的な日本人で対応できるつまり最も層の厚いクラスになります。旧製品で言うところのM1363 UM9p前後ということになります。
素材 Blank Material
素材は、UMTIPのグラファイトモデル
#1はUM-TIPもしくは、#1そのものが100%UM及び#1をS-GLASSコンポジットも試作しました。その後改良点が見つかり、改善して行く事にしました。それは試作1号機から4号機まで続きました。
UM-TIP【穂先】の硬さは、旧MOON-1202-UM9xp Blue Fangクラス同様にその用途が多用するために、少し硬めに仕上げています。それは、ルアーを用いた際の許容範囲を広げる為もあります。限られた磯場等での場合は、このこともある程度考慮しなければなりません。つまりルアーキャスティングのサブ機としても可能を意味します。そこは、旧1363-UMシリーズと異なる点です。
竿組設定
但し、以前の企画同様ガイドに大変制約があります。それは、常に悩みの種ですが、それでも2009年当時の不毛な時代からすればかなり大幅に前進したと思います。多くのガイドメーカーとりわけ我が国にはそう選択枝がほぼないこともあるかも知れません。パックロッド全般に言える事ですが、継数が増えると強度はどうしても落ちてしまいます。当社7-8クラスの設定でも継竿と比べると、1ランク下の強度になりますのでそれを如何に同程度または、その上に持っていくかということも課題としました。それはそれで大きな課題でした。それも徐々に改善されていきほぼ7-8クラス同等に強度は上がっています。
ナイロンライン対策
他でもナイロンラインの使用に関して述べてはいましたが、国際的な釣団体であるIGFA及び日本国内の釣団体であるJGFAのルールで戦うには、やはりナイロンラインがある程度必要になってきます。とりわけ、ある意味日本独特の進化を遂げてきた磯釣りという釣りのジャンルは、極めて特異なものでした。その影響力もあってか、IGFAでは全く無視されていた岸からの釣りという部門は、その友好姉妹団体であるJGFAが1カテゴリとして認めました。これは、IGFAルールという国際ルールを磯及び岸という釣りに持ち込むことによる特異化への加速と挑戦だったかと思います。しかしながら、それも一部のこれらをスポーツとしての釣りとする人々やそれに同参する人々にしか人気はないようです。これらは、他の釣りジャンルにも言えることです。釣り業界は、娯楽度がますます増してきていますが、それでも少数派ながら狩猟や、スポーツと捉えるアングラーが今現在でもおられます。また、磯でのナイロンラインを用いての釣りが現在のPEライン一択の流れでは、無視されてきたところもありますが、既に釣り糸がPE主力に変わってから25年以上が経過していますので、多くのこの間の世代には、ナイロンラインの釣を全く未知の釣であるのも否めません。しかしながらナイロンラインの有効性は、今も磯のエキスパートからは認知されております。またそれを引き出す為には、そのガイドも並走しなければなりません。
ナイロンラインシステム=30LB【7号~9号】をビミニツイストor三つ編みからのオルブライトノットが基本で、ライブベイト、フカセからキャスティングまでを考慮しています。またそれに伴うリーダーは80~130Lb前後を使うのが基本となっていますので出来ればTOPガイド12径を使うのがベターです。それを考慮すると、12-径トップの使用を前提に組み立てることにしました。これらは、ラインシステムにもよりますが、道糸単線であれば、仮に30号数相当でも単線なら10径ガイドでも十二分に抜けます。単線でもJGFA記録申請は当然できますが、最大130Lb(30号前後)ラインのオールタックルかラインクラスも後半のある程度太く強いラインクラスになります。そこは選択の自由度が高いほど良いに越したことはありません。