南方回帰Ⅴ₋闇と光₋微残光2015₋72026年01月16日 17:03

 2026年も幕開けです。
今年も相変わらずのマイペースで更新して行きますのでよろしくお願い申し上げます。
 年末に久々に口にしたものがあります。とても懐かしい味です。
土佐番茶
 それは、土佐番茶です。若いころになんだこのお茶は…と思ったのが始まりです。
番茶よう・・と言われましたが何か味が異なります。
それでもほんのり甘みがあり、案外好きにいや好きになりました。
土佐番茶2
 それが江戸時代よりつづく伝統的な土佐のお茶であると後で知りました。
なにか、ほんのりほっこりする味です。
 高知県を代表する駄菓子、ミレーと一緒に如何でしょうか。
番茶の茶葉

 さて、その7です。
更新が大変遅れまして恐縮です。
 その怒りにともとれる暴虐なイソンボを思い出す度にアドレナリン全開になるのはそれをその崖から経験したものの刹那の快楽なのかも…しれませんね。

-漆黒の衝撃-

イソンボ腹部

そこに浮かびあがるのは生命感の中の紫とも銀とも知れず

たまにはドラマを作って欲しい
しかも、想定外の・・・大勝負
フラッシュ越しのグアニン反射は少し紫かかっても見える

磯に咲く

 

 へとへとになって帰って来た彼らをよそにSYUは俄然やる気になっていたようだ。時々いたずらする奴雑魚たちを、今度は餌確保としてミジュンサビキを投入する。

 投入後、直ぐに反応があった。JUNは言うと、ここら辺は手馴れたもので、いつものコバンアジを的確に仕留めていった。サイズは、30cm程で大きくても40cmくらいのものである。この餌取が案外多い。また、こいつの皮は相当硬い。それは、財布ができそうなくらい硬い感じの皮で、ケミカルシャープ針の切っ先さえ、非常に通しにくいのである。我々は、クブシミ(コブシメ)撃退作戦には失敗したものの、小判、コバン釣には成功した。猫に小判でないだけまだいい。
 早速、SYUがそれを取り、上顎掛けにした。そしてキャスト。いよいよライブベイトの投入である。今まで散々餌取りとして齧り続けたその報いは、直ぐに訪れた。それは、自らが餌となるという制裁であった。何の躊躇もなく投入されたその30cm程のコバンは、何かに怯えているのか恐怖なのか、どうなのか手前に近づいてくるではないか。先ほどまで何処に投入しても喰いついて来たのに。

このコバンアジは、皮の硬さとは全く関係なくとても美味らしい。いつも餌になるだけなので、今度機会があれば試食してみたい。特に生が良いみたいである。

「えらい手前にくるなぁ…。」

「はい・・。」

コバン君は、ゆっくりと左方向へと移動している。

投入から数分後・・・・それは興った。

“ギィ~”

リールクリッカーが突然勢い良く鳴くと・・・同時に

「ああっ・・キタ~!」

SYUUのコールと共に一同一斉にその方向を見た。

一気に斜め左にラインが流れ走って行く!

彼は、グンとパワフルな合わせに入ると一気に竿は、弧を描くと、台湾製最上級コンベンショナルリールのスプールが逆転に転じた。クリッカー音が闇夜に鳴り響く。

「まえ!」

「前にでて!」

とは言うものの、踏ん張るので精いっぱいらしい。

「ムリッス!!」

ぶんばるSYUU


突如襲った激しい引きに全力で耐えるSYUU

それは、間違いなく今までの外道とは違う引きだった。魚は、まっすぐに沖には向かう事もなく斜め左前へと方向を変えなかった。

「ああ、SYUU!そっちはマズイよ!」
と言われずとも解ってはいるが、相手がこちらの言う事を聞く筈もないのである。

「あああ…ぁ~すってる、擦ってる、スッテル!」

竿を伝わって根に擦れているのが解るようである。
あの嫌な感じ。
何かズリズリとするあの感覚。
何度も経験したなぁ。

 正に真剣な表情で、SYUUは耐えていたが、その方向を変えられる事もなく、更に奴が走って行った。止まった感もあるが、バタバタ動く感じが伝わってくるらしい。

「イソンボではないなあ!」

「うーん。」

静寂から一気に騒然となるこの釣座が、なんとも踏ん張っているが・・・・。

 言葉にならない緊張に変わる。
こいつが本命かどうか解らないけど、かなり強烈な引きを堪能する余裕は全くないSYUU。まさにその姿がそこにある。
 彼の顔が真剣かつ紅潮しているのが分かった。耐えるしかなさそう・・・そんな感じであった。暫くすると、魚は止まったように思えた。彼は、その先にバタバタと暴れる奴がそのラインの先から伝わっているのが解る感じで、余裕がなさそうではあるが分析はしっかりしている様子だった。

「ああっ・・・・!」
「切れた!」

 耐摩耗ラインが切れた。
その擦れた感じの中で何時切れるか解らない恐怖が、その結末によってはその恐怖からの解放には繋がったが、その代償は、落胆と言う大きな遺産が待っていたのである。

ぶんばるSYUU2

 一体その先には何が付いていたのであろうか。
ラインブレイク(糸切れ)と言う事葉は、いつも悲しい。釣人にとって悲しい出来事のトップである。その歴史の中で、テグス切れと呼ばれて以来、釣師、漁師であればどれだけ悔しい思いを先人達はどれほど多く経験したのであろうか。一本の糸で繋がる事は、その事自体が一瞬で全てを失う事になる。それは案外、人の道もそうなのではないかと思ったりもするのである。幸いな事に、それはやり直しが利くと言う事であるが、備えが無ければ次のチャンスがない。それも人生と同じなのかもしれないと思った。チャンスは、一様に皆に回って来た事になる。

その結果は、別として。

 それからまた我々は、俄然やる気が出てきて頑張った。

しかし・・・それから後はチャンスが再び訪れることは無かった。

それでも、全員の帰路の足取りは重くは無かっただろう。何せ、ドラマは訪れてそれなりの結果をもたらしたからのだから。また“明日頑張れば良い”と言う気持ちも多分にあったのであろう。その明日への期待は膨らむばかりであった。

誰でもその希望と言う名の希望を奪う事はできない。

誰であっても・・・。

奪う事ができるのは、一体何者だろうか。天は、それを奪う事は決して無いと思ったりもする。誰でもその加護と運を受けたいと思うこころは同じだからである。

そんな気持ちも都会ではその御利益を期待してしまう正月元旦以外は、殆ど持ちにくいのかもしれない。恐らく、そこに待ち受けるのはコンクリートとアスファルトと淀んだ空気の洗礼に継ぐ洗礼であって、希望が霞みやすいのかもしれない。そう思った。その生活感には、人間が作り上げたモノだけがさも当たり前の如くに存在していて、自然がそれに勝てていないのが日常である。しかしながら、時としてその逆が起こる時がある。それが、一番畏怖を失った現代人への最大の恐怖であったりするのか。

 ラインは、何れも長い距離を擦っていた。傷だらけである。PEラインならば即殺だったのであろうか?未だPEラインの方が全てにおいて強いと信じている人が多いのには驚きだが、事実は事実として受け入れるしか方法はない。私は、釣糸の伝道師ではないのだから。何れにせよ、根擦れとの闘いになるのは、この釣りに於いては命題であろう。はたして、ラインメーカーの必死の説明というものは、一般には伝わらないのであろうか。恐らくは、伝わらないのだろう。

オクマアンドロス

OKUMA ANDROS 12a

アンドロス2

台湾を代表するリールメーカー

良くできている台湾製である



その8(闇の洗礼)へとつづく